「カメ止め」に続き「侍タイムスリッパー」も…上映作品が全国ヒットを連発 支配人が明かす「シネマ・ロサ」が“自主映画の聖地”と呼ばれる理由
池袋周辺の再開発
しかし、そんな人気も次第に下がり始め、10年位前には、自主映画をあまりかけなくなっていたという。 「うちだけでなく、新宿や渋谷の劇場も、自主映画をやるようになってきたんです。だったら、池袋より、そちらのほうが、場所的にも雰囲気的にも、いいに決まってるじゃないですか。そこで、次第に当館に声がかからなくなってきたんです」 さらに、池袋駅周辺の再開発もはじまった。 「池袋に、でかいシネコンが2つも来ることがわかったんです。2019年開館の『グランドシネマサンシャイン池袋』と、2020年開館の『TOHOシネマズ池袋』です 。こうなると、当館などは、ますますメジャー系作品はかけられなくなる。だったら、もう一度、特色のある自主映画をやろうということになりました」 こうして始まったのが、「インディーズ フィルム・ショウ」と題する、自主映画の特集上映シリーズだった。ただし編成は外部委託で、元シネマ・ロサのスタッフが組んでいるという。 「このシリーズでかかったのが、2018年の『カメラを止めるな!』でした」 「カメラを止めるな!」は、監督・俳優養成スクール「ENBUゼミナール」のワークショップから生まれた。2017年11月に、「新宿K's cinema」でイベント上映されたのが最初だった。その評判を受けて、翌2018年6月から、同館と「シネマ・ロサ」で単独公開された。それが、最終的に全国350館以上、220万人超動員の大ヒットとなったのだ。 「今回の『侍~』も、おなじ外部スタッフからの提案でした。昨年10月の京都国際映画祭で上映されていますが、その後、『これは化けるかもしれない。来年夏は、(スクリーンを)空けておいてくれ』といわれていました。こちらはてっきり、1~2週間のレイト・ショーのつもりでいたのですが、『いや、もっとかまえていてくれ』と。つまり、もっと長い上映期間を考えておいてくれということです」 「シネマ・ロサ」では8月17日から公開。つづいて30日から「川崎チネチッタ」でも公開された。その後は、すでにニュースなどでご存じのとおりである。 「『カメラ~』は、当館封切りから全国公開まで6週間でした。しかし『侍~』は、たった4週間です。あまりのスピードに、こちらが驚いてしまいました」 こうして「シネマ・ロサ」は、たてつづけに全国公開にいたる自主映画を2本、生み出し、まさに“自主映画の聖地”として注目を浴びる映画館となったのだ。