「便利」「危ない」と賛否両論の「LUUP」、1日乗り倒して見えてきた“長所と短所”とは?
■問題になる利用者マナーとわかりづらい交通ルール 最後に、利用者マナーについて。 これは、今、LUUPを語るときにもっともセンシティブな話題だ。特に、キックボード利用者の飲酒運転や歩道走行といった違反行為は、LUUP本社も対応を厳格化する方針を見せている。 実際、土曜日の朝の渋谷駅周辺のポートにはほとんど機体がなかった。これは、もしかすると、金曜日夜に終電を過ぎて飲んだ人が、LUUPを使って地元まで帰ったからかもしれない……というのは筆者の「考えすぎ」かもしれないが、とはいえ、LUUPを使わない人の「安心感」も、今後は育てていく必要があるだろう。
とはいえ、調査中は、歩道を堂々と走るような利用者は、私たちの観測範囲では見受けられなかった。 どちらかというと、車道走行時のマナーのほうが気にかかるところがある。利用者のマナーの問題もあるのだが、そもそも「電動キックボード」の存在自体が、現在の交通システムの中で宙ぶらりんになってしまっていることが問題な気もした。 途中、「あれ? この道ってLUUPで通っていいんだっけ?」と不安になる場面も多く、近くにいた工事のおじさんに尋ねたりもしてしまった。
LUUPは2023年7月から「特定小型原付」という区分になり、この改正自体が道路交通法上異例のことであるらしいが、やはり社会全体で電動キックボード自体に対する位置付けを再認識し、交通ルールの徹底をはかるべきだろう。 LUUP自体が新しい交通手段であるため、こうしたことが起こるのは仕方がないことで、それはある意味で、LUUPが一般に浸透していく際の成長痛だともいえる。 ■LUUPの可能性はどこにあるか
ここまで、いくつかの項目に分けて、LUUPの実際について考えてきた。 最後に、LUUPをはじめとする、シェアリングサービスが形作る可能性について考えていきたいと思う。 ①「都市の見方」を変える LUUPを100カ所周り、ずっと使って思ったのは、「都市の見方」がLUUPによって変わってくる、という点だ。具体的には、ポートが路地の中にあることや、都市のスキマにあることもあって、路地や都市のスキマに対する感覚が鋭敏になる。