「青二才の戯言はダメ」「諭吉、諭吉とうなされて…」 実は最強? 2代目経営者 2代目お坊ちゃん社長の会・後編
2020年、全国の「2代目社長」が集うコミュニティ「2代目お坊ちゃん社長の会」が発足した。ちょっと自虐的な名前の会だが、会員同士のコラボビジネスを成功させるなど、成果を上げている。自身も2代目社長で、会の代表理事を務める自動車修理会社「京南オートサービス株式会社」の田澤孝雄代表取締役に、2代目に重要な哲学を聞いた。 【動画】なぜ事業承継が大切なのか専門家に聞いた。
◆青二才の戯言にしか聞こえない
――「2代目ビジョン経営」を支える価値観として「継・守・破・離」を掲げています。「継」は、承継者の覚悟を持つという意味ですか。 むしろ「よく考えずに継ぐ」。これが大切です。 大企業に務めながら家業の相談に乗るコンサルタイプは、結局”外の人間”のままです。 安全地帯から「オペレーションが悪いから修正しろ」などと強制しても、先代をはじめ、内部の人間からは青二才の戯言にしか聞こえません。 だったらいっそ、怖くても目をつぶって飛び込んでみる。 マキャベリも「君主は統治するところの住人にならなければだめだ」と提唱していますよね。 評論家と討論しても新しいモノは生まれません。 会員には「家業をよく理解できていなくてもいい。 とにかくまずは当事者たれ。 そうでなければ成長できない」と呼びかけています。
◆「諭吉、諭吉…」とうなされて
――「守」とは? 家業の「型」を知ることです。 30年、50年と続いている企業には、必ず何か強みがある。 それをしっかりトレースしてくださいと。 2代目には、このステップがもっとも難しい。 先代に反発し、ゼロからまったく違う事業をやりがたり、「型無し」になってしまうケースが非常に多いです。 ――田澤代表理事ご自身もそうだったのでしょうか。 「守を見失うな」は自分への戒めでもあります。 家業に入って7年目、M&Aで会社のグループ化に着手しましたが、傘下の自動車修理工場の資金繰りに追い詰められました。 毎月数百万円が飛んで、頭の中は金策でいっぱい。 月末が近づくと、諭吉、諭吉……と、うなされる始末に。分からないことだらけでした。 当然ですよね、弁理士という全くの異業種からきて、家業をよく知ろうともせず手を広げたのですから。