政治家の「税優遇」禁止 自らの政党支部への寄付に控除適用せず
24日成立した改正政治資金規正法に伴い、政治家が自ら代表を務める政党支部に寄付することで所得税の一部を控除される「税優遇」が禁止されることになった。今年5月以降、複数の国会議員らがこの仕組みを使って税控除を受けていた事実が毎日新聞の報道で発覚。自民党派閥裏金事件のキックバック(還流)を原資にしていた事例もあり、批判が高まっていた。 寄付に伴う税控除制度は個人献金を促し、国民の政治参加を推し進める目的で導入されている。政治家が自らの後援会に寄付した場合は寄付者に「特別の利益」が及ぶとして、これまでも税控除が適用されなかった。しかし、自身が代表を務める政党支部に寄付した場合は控除が認められ、「抜け道」になってきた。 再改正された政治資金規正法では、税控除について定める租税特別措置法の一部を改正する内容が盛り込まれた。国会議員や自治体首長など公職の候補者が自ら代表を務め、選挙区などに設けた支部を「特定政党支部」と規定。税控除を適用しない対象として、新たに「公職の候補者が特定政党支部に対してする寄付」を明記した。2026年1月1日から施行される。 税優遇の問題を巡っては、自民党の菅家一郎元副復興相や平井卓也広報本部長、稲田朋美元防衛相らが、自らが代表を務める支部への寄付で税控除を受けたことが発覚。一連の報道を受け、6月に改正された政治資金規正法には、税優遇の適用除外を検討するとの付則が盛り込まれた。 菅家氏は2018~21年に旧安倍派から還流された計1289万円を原資に寄付し、税優遇を受けたことを認めた。10月の衆院選では党公認を得られず、立候補を断念した。 平井氏は本人が税優遇を受けたことを認めたが、さらに妻、母親、長女の親族3人も平井氏が代表の支部にそれぞれ寄付し、税優遇を受けた疑いも判明した。 今回の再改正で政治家本人の税優遇は禁じられたものの、親族に対象を拡大する明確な基準は設けられなかった。専門家の中には「一般の国民から見ておかしくない範囲の親族まで法規制することが望ましい」(三木義一・青山学院大名誉教授)との意見も出ている。【田中裕之】