智辯和歌山が屈辱の3大会連続初戦敗退!初戦で見えた大きな課題とは?
名門・智辯和歌山が甲子園初戦で霞ヶ浦(茨城)にタイブレークの末、4対5で敗れた。3点ビハインドの8回裏に劇的な2者連続本塁打で同点に追いついたが、力尽きた。 【一覧】智辯和歌山ベンチ入りメンバー紹介 2021年、夏の甲子園で優勝して以降、センバツ1回、夏2回の甲子園出場しているが、いずれも初戦敗退。昨夏は和歌山県大会でも初戦敗退を喫するなど、長く苦しい戦いが続いている。 この状況を脱するには、現在の智辯和歌山の強みをとことん伸ばして、課題となる部分は意識改革をして変えていくしかない。
強力投手陣は全国の強豪校に負けない大きな武器。強打を発揮した打撃は対応力が鍵に
現在の智辯和歌山の強みは投手力だ。 投手力はベンチ入り投手がみな、140キロを超える。 先発の松倉 汐音投手(3年)は最速143キロの直球、120キロ前半のスライダーを投げ込み、リリーフした渡邉 颯人投手(2年)も最速143キロの速球、スライダー、カーブをテンポよく投げ分け、制球力も高い。控えには最速149キロ右腕・中西 琉輝矢投手(3年)、最速147キロ右腕・宮口 龍斗投手(2年)、最速145キロ右腕・金田 雄太郎投手(3年)もスタンバイしていた。和歌山大会では5試合でわずか2失点。霞ヶ浦戦でも投手陣は実力を発揮していたが、守備のミスからの失点が多かった。中谷 仁監督も「松倉、渡邉の2人はよく投げてくれたと思います」と評価をしていた。 全国的に見ても、これほどの人材を抱えた投手陣は少ない。また公式戦は常に継投で戦っており、1人の投手を酷使するような起用法はない。投手を守りつつ、育てていく方針が感じられる。渡邉、宮口が残る新チームでも、強力な投手陣がチームを引っ張ることだろう。 智辯和歌山の看板である打撃でも、試合終盤でらしさを見せた。8回裏、強肩外野手の高桑 京士郎(2年)が2ラン、木製バットを使う花田 悠月内野手(3年)が同点本塁打を放った。高い打撃技術がなければ打てないものだ。智辯和歌山は新基準バットになる前から普段の打撃練習で木製バットを使用して、どの選手も長打性の打球を打ち返す。各選手の打撃能力は高いが、技巧派左腕・市村 才樹投手(2年)の投球に苦しんだ。試合の中での対応力をどう磨くのかが課題だ。 気になったのは接戦時でのバントミスが多いことだ。10回裏のタイブレークの場面でもスリーバント失敗があった。接戦時のチャンスはバントか、強打か。このあたりの戦術選択は非常に難しいが、秋の接戦時はどんな戦術で試合に臨むのか、注目したい。