衆院選で16回連続トップ 島根県の投票率はなぜ高い?
史上最低の投票率52.66%(小選挙区)を記録した第47回衆議院選挙。都道府県別では島根県が59.24%と1位を飾った。実は島根県は1969年の第32回総選挙以来、16回連続でトップを守っている。なぜ島根県は高い投票率を維持し続けられるのだろうか。 【図表】<衆議院選>過去の都道府県別の投票率 最も低かったのは?
まじめな県民性と選挙の日常化?
同県の選挙管理委員会に尋ねてみた。すると、投票率が高い理由を直接的に証明するものではないが、参考としてある調査結果を紹介してくれた。約25年前と古いデータではあるが、明るい選挙推進協会と県選管が1989年9月に共同で行った調査だ。「なぜ島根県の投票率は高い?」というテーマで8つの選択肢を提示し、複数回答で答えてもらったという。 選択肢は、(1)政治や選挙に関心があるから、(2)国民の義務と感じているから、(3)誰もが投票に行くから、(4)家族や知人に投票を頼まれるから、(5)県民性が真面目だから、(6)投票所が近くて生きやすいから、(7)候補者が身近な存在だから、(8)その他、の8つ。無作為の2000人を対象に調査し、1191人の有効回答を得た。 その結果、一番多かったのは「県民性がまじめ」で58.8%。2位は「国民の義務と感じている」の47.0%だった。 また上記の調査より精度は粗いが、昨年2013年に島根県立大学が行った調査もある。光延忠彦教授が学生らとともに県内3か所で計300人に行った街頭調査で、その結果、島根では選挙が「生活の一部として、日常化した行事としての理解が可能」で、「特別なことではなく、何年かに一度ある祭祀のようなもの」だと結論づけられるという。 2つの調査から浮かび上がってくるのは、まじめな県民性と選挙が生活の一部として溶け込んでいる様子だ。例えば、同県の中山間地などでは、朝一番で投票に行ってから農作業に従事する、というような県民の姿が見られるという。
若者の投票率向上は島根でも課題
ただ全国的な傾向に漏れず、若年層の投票率は島根県でも決して高くはない。20~24歳の投票率を全国平均と比べても、高い時もあれば低い時もある。2013年の参議院選挙では、島根大学の書道部の学生を全面に打ち出したテレビCMを作成し、若者に向けた啓発を行った。その効果かどうかは定かではないが、この時の若年層の投票率は全国平均より約7%高い38.19%だった。 ちなみに、島根県は参議院選挙でも長く投票率1位を守っている。1962年から1992年までの11回連続と、1998年から前回の2013年までの6回連続で1位。その間、唯一トップを逃したのが1995年。タレントの故小野ヤスシさんが立候補したお隣の鳥取県に破れ、2位になっている。