【小倉競輪(ナイター)GⅠ競輪祭】眞杉匠 特別インタビュー 関東の若きエース「連覇果たしグランプリへ」/11月19日開幕
今年は年頭から試練の連続
――昨年末のグランプリは3着。 「あのときは体の調子が良くて、緊張もゼロでしたね。レースが近づいてきたら緊張するのかなと思っていたけど、競輪場に入っても、それこそ発走機に着いても全く感じませんでした。賞金もすごいし、楽しみしかない感じで走れました。でも最高峰のメンバーなので、みんな隙がなかったですね」 ――今年は、出だしから厳しい状況になりました。 「昨年12月30日のグランプリが終わってすぐ、それこそ今年の元日からインフルエンザで体調を崩しました。それで年頭初戦の大宮記念を欠場。治って復帰しようと練習している最中に今度は落車しました」 ――1月10日、GⅠ2Vの祝勝会が開かれましたが、左手をつっての登場でした。 「左鎖骨などを折ったのが祝勝会前日。今年は厳しい戦いになるなと思いました」 ――その影響か、前半戦はあまり活躍が目立たなかった印象です。 「2月のGⅠ全日本選抜から復帰したんですが、思い通りの走りはできませんでした。ある意味それは今でもそうなんですけど、特に上半期はダメダメでしたね。ビッグレースの決勝に乗れなかったし、GⅢでも準決で大敗することが多かった」 ――どのように乗り越えようとしましたか。 「焦ってもいいことはないので、やれることをやっていこうと思いました。それでSSから落ちることになってもそれが実力だと思うし、また目指せばいいので、焦りはなかったですね」
「できなかったことが、できるようになった」
――7月、松戸サマーナイトフェスティバルでGⅡ初優勝。 「6月に鎖骨骨折のワイヤを抜いて、それで少し上向きました。それまでは、体の使い方がうまくいかなかった。それでもやれることをやろうと思って、ヨコもやりながら自在に動くようになったんです。その中で得られたものはありますね」 ――タテ脚だけではない部分を磨けたんですね。 「そうですね。いろいろと勉強になりました。でもそうしたら今度は、駆ける距離が短くなってしまった。先行が減って、本来の走りから遠ざかってしまったんです。でもこれは、時間をかけてレースの中で戻していくしかない。それで今は、長い距離を駆けるレースを意識的に増やしています」 ――これで先行力が戻れば、今まで以上の強さになりますね。 「そう思います。昨年できなかったことで、今年できるようになったことは多い。以前は先行できなかったとき、自分の形にならなかったときに大きな着を取っていました。なので、どんな状況にも対応できる力を身に付けたかった。まだまだですけど。脇本雄太さんくらい脚があって、古性優作さんくらいヨコができたら、簡単には負けませんよね」 ――それだと競輪界の頂点を極めることになります。 「神山雄一郎さんはGⅠを16回優勝。最終的に目指すところは、同県の偉大なその先輩です。自分はまだ2回だし、もっと上を目指さないといけません。それに、神山さんはグランプリを取っていないので、そこは『お先に』といきたいですね」