鳥インフル関連で米国初の死者、専門家は季節性インフルとの同時感染を警戒
米南部ルイジアナ州の保健当局は6日、高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)に感染して入院していた米国人患者が死亡したと発表した。米国では最初の死亡例となる。専門家は一般市民へのリスクは依然低いものの、長期的には鳥インフルエンザと季節性インフルエンザの同時感染により、ウイルスが何らかの変異や遺伝子の再集合を起こして、人々の間でより感染しやすくなる可能性を懸念していると話す。 H5N1型鳥インフルエンザによる米国での初の死亡例が報告されたことを受けて、世界保健機関(WHO)は7日、人へのリスクは依然として低いとの見解を示した。 ルイジアナ州で死亡した患者は65歳以上で、飼育していた鶏や野鳥に接触した後に感染した。保健当局者らによるとこの患者には基礎疾患があり、重篤化のリスクが高かったという。 「ある意味ではリスクはかなり局所的だが、全米で広がりつつあるようだ」感染症の専門家は、野鳥から飼育されている鳥に感染し、そこから飼育に携わる人が感染していると指摘する。 チューレーン大学 サラ・マイケルズ助教授 「幸いなことに、人から人に感染するタイプのインフルエンザではない。(中略)インフルエンザの予防接種を受けるには、いまならまだよい時期だ。予防接種は鳥インフル感染を予防するものではないが、季節性インフルエンザを防ぎ、それらに同時感染する可能性を減らしてくれる。この同時感染が長期的には特に懸念される。鳥インフルが何らかの変異や遺伝子の再集合を起こして、人々の間でより感染しやすくなる可能性が懸念されている。ただし現時点ではそのような状況にはなっていない」 各国の専門家は、鳥インフルが動物に与える影響や人間へのリスクを調べている。 米国では4月以降、主に農業労働者を中心に約70人が鳥インフルに感染した。米疾病対策センター(CDC)によると、家禽類や乳牛の間で感染が広がっているという。