津田健次郎、表現者としてのこだわり「保守的になり過ぎたらつまらない。どこか壊していきたい」<ラーメン赤猫>
声優、俳優、映画監督などさまざまな表現でファンを魅了する津田健次郎。最新作アニメ『ラーメン赤猫』では、店長・文蔵役として渋いラーメン職人(猫)を演じている。「作品ごとに色はありますが、どこかで保守的にならず壊していきたいと思ってしまう癖がある」と語った津田が、自身の表現へのこだわりを明かした。 ■猫アレルギーも「全然大丈夫なんです!」 『ラーメン赤猫』で津田が演じるのは、茶トラ猫の店長・文蔵。口数は少ないが、店の精神的支柱であり、ラーメンへのこだわりが強い職猫だ。 「いい男感のある職人。あまり喋らない基本無口な猫なのですが、従業員やお客さんなどがワイワイやっている掛け合いを面白がったり、優しい目で見つめている感じがいいですよね。現場はとても楽しいです」。 ■お気に入りのキャラは「サブちゃん」 原作漫画を読んだという津田。作品の持つ世界観には「とても癒されました」と目じりを下げる。 「サブちゃんというキャラクターがいるのですがとても面白くて好きですね。あとは佐々木さんという従業員もいるのですが、謎過ぎて(笑)。変なネットワークをたくさん持っているのですが、とても優秀なんです。実は佐々木さんが店を支えている。ほかにも魅力的なキャラクターがたくさんいて、愛らしい猫たちを観ているだけでも面白いと思います」。 津田と言えば、カロリーメイトのCMで猫と戯れるシーンが印象的だ。 「猫はめちゃくちゃ好きなんです。犬派か猫派かと聞かれれば、どちらも好きなのですが、やや猫派です(笑)。しかし軽度なのですが猫アレルギーを持っていて、周囲からは『大丈夫?』と心配されるんです。でも以前飼っていたぐらいなので、全然大丈夫なんです!(笑)」。 声優という仕事上、人間以外のキャラクターも演じる機会は多い。津田自身も猫を演じることは過去にもあったという。 「カロリーメイトの以前のバージョンのCMでは猫の声をやらせていただいていましたね。そのほかにも僕は動物全般の声を演じる機会は多いです。でも今回の文蔵は、見た目は猫ですが、完全に人間ぽいキャラクターなので、まったく猫を演じている意識はないですね(笑)」。 ■好きなラーメンはしょうゆ! 文蔵は、かなりの職人(猫)肌の人物で、ラーメンの味にはこだわりを持つストイックなキャラクターだ。津田自身も声優はもちろん、俳優として、映像作家としてさまざまな表現方法にトライしている。 「作品ごとに色が違うので、それぞれに合わせた表現方法は意識していますが、基本的にオーソドックスにまとめないといけない部分と破綻させていくところの調整みたいなものは大切にしています。振り切りすぎてもいけないし、かといって保守的になりすぎても面白みに欠けてしまう危険性もあります。僕はどこか壊していきたいと思ってしまう癖がありますね」。 台本という決められた範囲内で、出来る限り既成概念を取っ払って破壊していきたいという津田。 「まずはいただいた台本を読んで、どうすれば作品が面白くなるのか……ということを考えます。そのために準備していくこともありますが、結局は現場での監督のイメージや、共演する相手とのセッションで変わっていくことが多いので、臨機応変に対応できるようにはしています」。 ■良い表現をしたいという思いが圧倒的に強い フィクションの世界に身を置く津田。そこは職業でもあり、違った感覚もあるという。 「いま僕がやっていることは、自分のなかで職業だと思うところもありますが、そうじゃないと思う感覚もあります。もちろんプロとしての責任感はありますし、生活のためという意識も大事なのですが、良い表現をしたいという思いが圧倒的に強い気がします」。 そんな津田に最後「どんなラーメンが好きですか?」と緩い質問を投げかけてみた。 「最近ラーメンも細分化されて、もはや何ラーメンなのか分からない感じにもなってきていますが、僕はシンプルな昔ながらのしょうゆラーメンが好きです。美味しいですよね(笑)」。 (取材・文:磯部正和)