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メン地下にハマる少女たち――注意したい「推し活」の落とし穴 #こどもをまもる

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近年、メディアで話題になることの多い「推し活」。一方で、金銭や時間を費やすことになるために、問題点も浮上している。

特に警視庁が警鐘を鳴らすのが、「メン地下」ことメンズ地下アイドルを少女たちが過剰に推すことで生まれるトラブルだ。今年1月には、ファンの少女にみだらな行為をしたとして、2人のメン地下が逮捕されている。

子ども同士で出かけたり、SNSを見る時間が増える春休みがもうすぐ訪れる。子どもたちにもスマホが普及し、SNSを通じて情報に触れることを止めるのは、もはや難しい。未成年の過剰な推し活によって起きているトラブルの実例を警視庁に聞くとともに、家族間でできる対策について専門家とともに解説する。(Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部/監修:高橋暁子)

この記事、ざっくりいうと?
  • 楽しいはずの「推し活」だが、悩んだ経験がある人も少なくない
  • 「メン地下」にはまる10代が急増、警視庁への相談も増えている
  • スマホも低年齢化、親が子どもとネットについて話すことが必要

広がる「推し活」 約4人に1人が経験ありと回答

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「推し活」について、Yahoo!クラウドソーシングのユーザー1000人(15〜69歳)を対象にアンケートを実施したところ、自分が推し活を「やっている/やっていた」と回答した人は24%で、およそ4人に1人が推し活の経験があると答えた。年齢や性別を問わず、推し活は幅広い層に広がっている。推し活に使う費用についても聞いたところ、グッズ購入費やチケット代のほか、投げ銭やライブ会場などで推しと写真撮影をするための費用、いわゆる「チェキ代」と答えた人もいて、活動の形が多様になっていることもうかがえた。

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推し活で悩んだ経験についても聞いたところ、最も多い悩みが「お金」に関することだった。推しのアイドルなどに夢中になるあまり「散財してしまう」という声や、推しに認知してもらいたいという気持ちから「かけられるお金を他の人と比べてしまう」という意見もあった。推し活に必要な費用を借金で賄った経験がある人もいて、まさに「推し活沼」の実態を垣間見ることができた。また、「マウントを取ってくるファンがいる」「SNS上でのマナーが悪い」などファン同士のトラブルに悩む人もいた。

10代がハマる推し活沼 「メン地下」とは何か

「推し活」は未成年にも広がっている。昨年12月、そして今年1月にも警視庁少年育成課は、「メン地下」ことメンズ地下アイドルへの過剰な推し活について、Twitterで注意を呼びかけた。そもそも「メン地下」とは何か、なぜ少女たちがトラブルに巻き込まれてしまうのか、背景について聞いた。

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警視庁少年育成課によると、メン地下はメジャーなアイドルに比べ、物理的に非常に距離が近いことから、精神的に未熟な年代が夢中になりやすいという。ライブ会場におけるチェキの撮影会では、その購入金額に応じたポイントが付与され、たまったポイント数に応じた特典を受けることができる仕組みを持つことも。なかには、10万円以上、100万円以上の現金をつぎ込まなければ得られない特典もあるという。未成年には到底用意することができない金額だ。

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一部の女子中高生は、熱中するあまりメン地下中心の生活となり、昼夜逆転、怠学、繁華街への入り浸りに加え、ライブの入場料やチェキの撮影費用の捻出のために、家庭内から多額の金品を持ち出したり、パパ活(見知らぬ男性とデートをして金銭を得ること)や売春を行ったりする問題があるとされる。警視庁には、2020年頃からメン地下に関する相談が寄せられるようになり、2022年中には相談件数が、前年の約3倍に急増。年齢別では、16~17歳が目立つという。また、警視庁が検挙した違法な性風俗店やJKビジネス店で働いていた女子高校生の中には、その稼働理由として、メン地下の応援のためという少女が複数いたという。

少女たちがメン地下に夢中になる理由について、警視庁少年育成課はこう分析する。「相手は、優しく話を聞いてくれる、褒めてくれる。児童の寂しさを埋め、自己肯定感を高めてくれることが一因として挙げられます。 保護者は平素から子どもとコミュニケーションを図り、何でも相談に乗れる関係性を構築することが大切だと考えます」

また、子どもがメン地下に入れ込み、分不相応の多額な費用をつぎ込んでいたり、生活態度に変化が出ていたりする状況を把握した際は、保護者による指導と併せ、地域を管轄する警察署やヤング・テレホン・コーナー(外部サイト)等の警察相談窓口に相談してほしい、と訴える。

子どもの推し活とSNS、保護者が注意したいポイントは

警視庁が懸念する、未成年の過度な推し活の問題と切り離せないのが、SNSの存在だ。子どもを取り巻くSNSの現状について、成蹊大学客員教授・IT ジャーナリストの高橋暁子氏に取材した。

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スマホの所持年齢も低年齢化し、文科省が取り組むGIGAスクール構想で全ての小中学生がネット接続端末とネット環境を手に入れ、利用が促進された。小中学生に特に人気があるのがTikTok。次々と動画がおすすめされていき、イケメンが好き、アイドルが好きと判断されると、おすすめ機能のアルゴリズムの精度が上がっていくため、エンドレスで動画を見られる状態になる。Twitterでは、匿名で複数アカウントを作って利用できるため、以前から犯罪につながる投稿が非常に多い。違法薬物や児童ポルノなどに関する投稿は削除されるが、パパ活などは削除されにくい現状がある。ハイティーンに人気のInstagramも、写真についたハッシュタグを追ううちに、思わぬ情報に接触する可能性がある。

専門家に聞く「SNSの危険から遠ざける親子関係」

思春期以降の子どもをSNSの危険から守るにはどうすればよいでしょうか?

高橋暁子さん
高橋暁子さん
高校生になると、スマホの所持率・利用率はほぼ100%。「持たないと周囲についていけない」状況になります。できればその前段階までに、子どものリテラシーを高めつつ、信頼関係も作りたいですね。「こういうのは危ない、これはやってほしくない」という、親の気持ちもしっかり伝えておければ、危険な投稿に触れても気づきやすくなるでしょう。

子どもの位置情報を把握しておくことは有効でしょうか?

高橋暁子さん
高橋暁子さん
小学生ぐらいまでの低年齢で、本人の同意があれば、見守りのために有効です。ただ思春期を迎える時期からは、プライバシーを気にすることもあるでしょう。一方で今の若い子のなかには、親に「今どこにいるの?」と言われるのがウザいからと、あえて積極的に位置情報を共有している子もいるようです。このように、新しい家族間コミュニケーションとして活用しているケースもあると聞いています。

インターネットの有害情報から子どもを守るにはどうすればいいでしょうか?

高橋暁子さん
高橋暁子さん
闇バイトに応募した高校生の事例も報道されていますよね。有害情報に対してまったく無警戒だと、そうなってしまう。まず金銭感覚や、自分の身の安全の守り方を学ばせて、夜中に繁華街に行かないなど、年齢にふさわしい生活ができていれば、そこまで恐れることではないかなと思います。

SNSを通じて、子どもが知らない人と会う場合は、どういうところに注意すればいいでしょうか?

高橋暁子さん
高橋暁子さん
インターネットを通じて知らない人と会うことのリスクについて話をしておきましょう。どういう人たちと交遊していて、誰に会いに行くかを普段から会話できていれば、そこまで怖くないと思います。そのうえで、「日中、明るい場所で、友達を複数連れて会いに行ってほしい、いつどこで誰に会うかもきちんと教えてほしい」と伝えておくことも大事ですね。

子どものSNS利用を否定するのではなく、一緒に見よう

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子どものSNS利用について、保護者はどうコミュニケーションをとればいいのか。高橋氏はこうアドバイスする。

「SNSに関する事件があれば子どもとニュースを共有し、会話をしておきましょう。それでも子どもが会いたいという人がいたら、『否定しない、だから信用して相談してほしい』という姿勢を伝えてください。ときには子どもからSNSの使い方を教わると、どういうものに興味を持っていて、誰をフォローしているかが把握できます。SNSを子どもの視界から隠すのではなく、教えてもらうスタンスで会話していくと、危険な兆候があっても早めに気づけると思います」


「#こどもをまもる」は、Yahoo!ニュースがユーザーと考えたい社会課題「ホットイシュー」の一つです。 子どもの安全を守るために、大人ができることは何か。対策や解説などの情報を発信しています。

特集ページ「子どもの安全」(Yahoo!ニュース)

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