見解長く指揮を執られてきた日大三高の監督を昨年春に退任された小倉全由さんだが、U18代表監督に就任されるなど、今もこうして高校野球の現場でご活躍なさっている姿を見ると、取材で何度もお世話になった私も嬉しくなる。日大三高の監督当時、甲子園で同じ大会に出場した大阪桐蔭や智弁和歌山の選手たちを見て「モノが違う」と素質の高さを認め、そんなスター軍団に対して「ウチは練習で鍛えて強くなるチーム。どっちが強いのか勝負してやろうぜ」と選手に檄を飛ばしていたのを覚えている。そうした小倉さんのマインドを受け継ぐかのように、近畿勢が優勢だった甲子園で、近年は新進気鋭の監督たちに率いられた関東勢が躍進めざましい。もちろん大阪桐蔭も巻き返しを狙ってくるだろうし、同じ近畿勢の中にも報徳学園の大角健二監督のようなイキの良い指導者も出てきている。年々レベルアップする東北勢にも目が離せない。高校野球は確実に変革期を迎えている。
コメンテータープロフィール
1966年、山梨県出身。出版社勤務を経て、1994年、フリーランスのライターとなる。野球を中心に数多くのスポーツノンフィクション作品を発表。細かなリサーチと現場取材に基づいた人物ルポルタージュを得意とする。著書に『元・巨人』(ザ・マサダ)、『松坂世代』(河出書房新社)、『遊撃手論』(PHP研究所)、『PL学園最強世代 あるキャッチャーの人生を追って』(講談社)、『松坂世代、それから』(インプレス)などがある。