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鶴岡路人

鶴岡路人

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慶應義塾大学総合政策学部准教授

報告

解説「ヒトラーと同じ」は欧州向けメッセージなのだろう。重要な点は、ロシアが現時点での占領地域では満足せずに、さらに占領地を拡大したい意図を明示していることである。 ゼレンスキー大統領が、「現在の占領状態のまま停戦する「紛争の凍結」どころではないと批判」したという点は興味深い。というのも、現在の占領状態を認める停戦案(そしてそれに西側から同調が出ること)こそ、ウクライナ側が最も恐れているものだからだ。 国際社会での世論戦としては、「ロシアは平和を欲しているのにウクライナが拒否」だと発信できる現状固定の停戦案は、ロシアにとって有効なカードなのだが、ロシア自身は現状では不満であるため、そうした提案ができないのである。それがあらためて示されたプーチン発言だったといえる。

コメンテータープロフィール

鶴岡路人

慶應義塾大学総合政策学部准教授

専門は国際安全保障、現代欧州政治。慶應義塾大学法学部卒。同大学大学院、米ジョージタウン大学大学院で学び、英ロンドン大学キングス・カレッジ戦争研究学部で博士号(PhD)取得。在ベルギー日本大使館専門調査員(NATO担当)を経て、2009年から2017年まで防衛省防衛研究所教官、主任研究官。その間、防衛省防衛政策局国際政策課部員、英王立防衛安全保障研究所(RUSI)訪問研究員等を務める。2017年から現職。著書に『欧州戦争としてのウクライナ侵攻』(新潮選書、2023年)、『EU離脱』(ちくま新書、2020年)等。また、2023年から2024年までオーストラリア国立大学(ANU)訪問研究員。

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