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辻本典央

辻本典央

認証済み

近畿大学法学部教授

報告

解説記事が伝えるとおり、本件は、昨年に新設された保釈中の被告人が正当な理由なく公判に出頭しない行為を処罰する規定(不出頭罪=刑訴法98条の3)に違反するとして、逮捕されたというものです。 昨年の刑訴法改正は、保釈制度を前提にして、被告人が逃亡等により公判に出頭しないという場合に対して、GPS装置の使用など様々な制度を導入しました。不出頭罪による処罰も、その一つです。 本罪の制定により、処罰に基づく抑止効果があることは確かです。また、保釈中の逃走行為が犯罪化されることで、警察の介入根拠が明確になった点は大きいです。従来、保釈中の被告人が逃走した場合、検察の要請に応じて警察がこれに協力するという形になっていましたが、逃走行為が犯罪となれば、警察が捜査の対象とし、必要に応じて逮捕ができるようになったわけです。

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コメンテータープロフィール

旅行会社勤務を経て29歳で立命館大学に入学し、3年生の時に司法試験に合格。卒業後は京都大学大学院法学研究科に進み、刑事法を専攻。2005年に近畿大学法学部専任講師となり、現在は教授。2011年から2012年にかけて、ドイツ・アウクスブルク大学客員教授を務める。専門は刑事法全般(特に刑事訴訟法)。著書は、『刑事訴訟法』、『刑事手続における審判対象』、『刑事弁護の理論』(全て単著)。法学博士。趣味は洋画鑑賞、水泳、見る将(大山・中原時代からの筋金入り)。

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