解説与党と野党のそれぞれの戦略が見え隠れする「103万円の壁」である。 与党としては、とりあえずは補正予算を通過させるために、国民民主党の要求を聞くという形をとったが、補正予算が通過したという実績を作った以上、これ以上国民民主ペースでいく必要はないという判断もある。 野党の国民民主党としては、「178万円」という具体的な数字を提示してしまっているので、後には引けない。この実現にその党の支持率をかけているところもある。 だが、あまり国民民主が自らの政策に拘泥し続けるなら、与党は他の野党との協議を優先して行うというポーズを示すこともできる。少数与党政権ではあるが野党がばらばらであることを利用して、綱渡りの政権運営を行うこともできると考えている。 野党がばらばらでは、与党はこのように個別撃破、そして野党間の別個の与党協議で、野党を振り回し与党ペースで政策を回すことを考えている。野党の今後に注目だ。
コメンテータープロフィール
日本政治法律学会理事長。博士(政治学)。日本の政治、選挙、政策変容を中心に、それとの比較で海外の政治変容にも関心を持つ。東京、地方での講義、講演、出演依頼は可能な限り喜んで引き受けている。というのも多様な地域の大学での研究、講義経験や、政治家、ジャーナリスト、研究者、市民からの示唆は、自分の糧であり、その交流は喜びである。国内では静岡大学助教授、長崎県立大学専任講師、海外では英国オックスフォード大学ニッサン日本研究所、オックスフォード大学ペンブローク・カレッジ客員フェロー、ドイツ連邦共和国マンハイム大学客員教授、ノルウェー王国オスロ大学客員研究員等、学会では日本政治学会理事なども歴任した。
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FNNプライムオンライン(フジテレビ系)