この問題が、閣僚が発言の責任をとって辞めるか、やめないかという議論に集約されそうであったが、問題はそうしたものに矮小化できるものではない。 報道の自由に対して、一つの番組の在り方が問題であるとして報道の自由に政府の権力が踏み込んでいくというのであれば、それは問題といわざるを得ない。場合によっては当時の山田首相秘書官の発言とされる「言論弾圧」のおそれもある。 野党も、閣僚の辞任を求めるだけではなく、そうした報道の自由や、国民の知る権利を視野に、今後の論戦を展開していくことが必要だろう。 むしろ、ここで重要な役割を果たす高市大臣が辞任してしまっては、問題が明瞭にならないばかりか、高市氏の抗弁の機会もないということになってしまう。 これを、報道の自由に関して、与野党でしっかりと原則を確認する機会としたい。
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コメンテータープロフィール
日本政治法律学会理事長。博士(政治学)。日本の政治、選挙、政策変容を中心に、それとの比較で海外の政治変容にも関心を持つ。東京、地方での講義、講演、出演依頼は可能な限り喜んで引き受けている。というのも多様な地域の大学での研究、講義経験や、政治家、ジャーナリスト、研究者、市民からの示唆は、自分の糧であり、その交流は喜びである。国内では静岡大学助教授、長崎県立大学専任講師、海外では英国オックスフォード大学ニッサン日本研究所、オックスフォード大学ペンブローク・カレッジ客員フェロー、ドイツ連邦共和国マンハイム大学客員教授、ノルウェー王国オスロ大学客員研究員等、学会では日本政治学会理事なども歴任した。
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