見解『ミッシング』(24)の演出には、ある特徴があります。それは、被写体に対してクロースアップを多用しているという点。例えば、石原さとみさんの表情にカメラが寄ることで、あえて周囲の状況を判別しにくくなるような演出を施しているのです。登場人物を取り巻く状況が当初はよくわからないものの、物語が進むにつれて観客は徐々に周囲の状況を推し量ってゆくようになる。このことと、石原さとみさん演じる主人公のバックグラウンドが徐々に明らかになるという構成とを同期させている演出は、注目ポイントのひとつだと思います。ひとつ間違えば、映画にとって”わかりにくさ”に繋がってしまう危険性があるのですが、表層的なイメージによってキャラクター造形を実践させながらも、いつの間にか観客の心理を翻弄させてゆくような石原さとみさんの演技アプローチは見事だと感じました。本作は間違いなく彼女の代表作になるはずです。
コメンテータープロフィール
東京芸藝術大学大学院映像研究科映画専攻修了。テレビ、映画の現場を経て執筆業に転向。『WOWOWぷらすと』『米粒写経 談話室』『シン・ラジオ〜ヒューマニスタは、かく語りき〜』など、テレビ・ラジオ・配信番組に出演。YouTube『そえまつ映画館』を毎週金曜日に更新、Loftにて『映画解説講座』を定期開催中。『キネマ旬報』『DVD&動画配信でーた』劇場パンフレット等に多数寄稿、共著に『現代映画用語事典』(キネマ旬報社)などがある。ゴールデン・グローブ賞の国際投票権を持ち、キネマ旬報ベスト・テン選考委員、田辺・弁慶映画祭審査員、デジタルハリウッド大学客員准教授などを務めている。日本映画ペンクラブ会員。
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