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益尾知佐子

益尾知佐子

認証済み

国際政治学者/九州大学大学院比較社会文化研究院教授

報告

補足予想してましたが、国際的にはクレイジー。習近平指導部が今なぜ、国際的な挑戦を仕掛けるのかは理解できませんが、官僚的背景は以下の通りです。 (1) 中国の海洋進出の背景には国家計画あり。2020年度までの海域関連計画は、2021年度から国土空間長期計画に統合(海警法と同時期)。そこでは中国指導部が全国土と全「管轄海域」の用途を決定。 (2) 2020年度までの計画には尖閣周辺海域は入らず、2021年度に計画入りした。しかし、尖閣周辺がどのような用途指定を受けたかは未公開。 (3) だが中国は同時に、宇宙-空-陸-洋上-深海を繋ぐ監視観測情報設備(ブイその他)や、それと組み合わせて使う各種大型装置(石油リグ、風力・原子力の洋上発電設備など)の研究開発に注力。 (4) この数年、中国外交部は日中中間線の存在を否定。 想定できた動きです。何も手を打ってこなかった日本政府にも大きな責任があります。

コメンテータープロフィール

益尾知佐子

国際政治学者/九州大学大学院比較社会文化研究院教授

専門は現代中国の対外政策、国際関係論。東京大学総合文化研究科博士課程修了、博士(学術)。小倉高校在学中にアメリカに、東京大学教養学部在学中に中国に交換留学してサバイバル力を磨く。日本国際問題研究所研究員、エズラ・F・ヴォーゲル教授研究助手、早稲田大学講師などを経て現職。ハーバード大学イェンチン研究所協働研究学者、中国社会科学院・外交学院訪問学者などを歴任。単著に『中国の行動原理──国内潮流が決める国際関係』、『中国政治外交の転換点──改革開放と「独立自主の対外政策」』、共著に『中国外交史』、訳書にエズラ・F・ヴォーゲル『日中関係史』など。好きなものは国境。

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