「体にとって、甘いものはある程度は必要であるが、取り過ぎると臓器に問題が生じる」”ヒト”という動物の例とよく似ていますね。ヒト本来の環境(狩猟採集生活の場となった自然界)では甘いものはとても少なく、見つけたときには食べたいという強い欲求が湧く方が生存にとって有利で、そのような性質をもつ脳が進化した。ところが人工的に甘いものをいくらでも合成できるような環境になったとき、その欲求は、取り過ぎを引き起こしてしまった。アナウサギ類の本来の生息地は比較的乾燥した地域で、餌は、草、樹皮、根等である。ニンジンのような栄養価、水分等の多い御馳走には出合わない。だから本来の環境に生理的な特性が適応・進化しているのも当然だろう。ただし、ニンジンのような糖質や水分を含むものがあれば逃さず食べる性質も当然有している。ただし取り過ぎは・・・ヒトのときと同じなのだ。その辺りのことも来園者に是非教えてあげてほしい。
コメンテータープロフィール
専門は動物行動学、進化心理学。 大学では「動物行動学」、「保全生物学」などを担当。著書に「先生、シマリスがヘビの頭をかじっています!鳥取環境大学の森の人間動物行動学」(築地書館)、「ヒトの脳にはクセがある 動物行動学的人間論」(新潮社)などがある。