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木場紗綾

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神戸市外国語大学国際関係学科 准教授

報告

補足2004年以降のインドネシアでは大統領弾劾もクーデター計画も起こっておらず、非常に安定した大統領制が続いています。元大統領が任期終了後に訴追された事例もありません。その最大の理由が、皆が勝ち馬に乗る、大連合形成です。ジョコ大統領は就任直後「自分は直接選挙で選出されたので、野党と妥協する必要はない」と述べていましたが、実際は野党有力者を閣僚として処遇し、議会がほぼ「オール与党」化しました。プラヴォ大統領その路線を踏襲するとみられています。大統領は議会を形成する各政党のみならず、拒否権を発動しうる軍、警察、地方政府、官僚、寡頭エリート、宗教組織などにも配慮した組閣を行っており、これが、閣僚の数が増える一因です。  「オール与党」体制の下で政権が安定していることと、民主主義の質の低下は表裏一体です。政権批判を行いにくく、政権を監視しにくい体制が進んでいるとも言えます。

コメンテータープロフィール

木場紗綾

神戸市外国語大学国際関係学科 准教授

神戸大学大学院国際協力研究科修了(政治学博士)。フィリピン大学研究員、在フィリピン日本国大使館専門調査員、在タイ日本国大使館専門調査員、衆議院議員秘書などを経て現職。専門は東南アジア政治、国際協力論。防衛大学校グローバルセキュリティセンター共同研究員。技能公募予備自衛官(英語)。近著に、Pathways for Irregular Forces in Southeast Asia: Mitigating Violence with Non-State Armed Groups (Routledge, 2022年)、『アジアの安全保障2021-2022』(朝雲新聞社2021年、共著)など。

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