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神保謙

神保謙

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慶應義塾大学教授 / APIプレジデント / キヤノングロー

報告

見解文在寅前大統領の回顧録は、2017-19の北朝鮮との交渉過程と韓国進歩派の外交観を知る資料となる。南北首脳会談、板門店宣言、終戦宣言などの一連の流れが進めば非核化と恒久的な平和構築はできるという考えは、敢えなく2019年2月の米朝ハノイ会談決裂とともに効力を失った。回顧録はこうした流れを「自分は正しかったが、日米などに邪魔された」と回想しているようである(正確を期すためには本文を読む必要があるが)。しかし文在寅と金正恩の考える交渉の優先順位は明らかに異なるはずで、主戦場は南北関係よりも米朝関係にあった。自らの正しさだけでなく、何が見込み違いだったのか、という回顧の箇所に関心がある。回顧録の日本語訳が出版されることを期待したい。

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コメンテータープロフィール

神保謙

慶應義塾大学教授 / APIプレジデント / キヤノングロー

専門は国際政治学/安全保障論。安全保障アーキテクチャ(パワー・制度・活動の融合)や、抑止論、信頼醸成、経済安全保障などが最近の関心領域。世界経済フォーラム、シャングリラ・ダイアローグ、北東アジア平和協力対話(NEACD)などに登壇。

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