Technology2017.06.06

検索データ×被災地の声 熊本で考えた災害支援・防災のあり方

(イベントで講演した熊本県の蒲島郁夫知事) 

 災害時、私たちはどんな情報を求めるのか――。Yahoo!ニュースでは、Yahoo! JAPANの持つ検索データを災害時の効果的な情報発信に活用できないか、取り組んでいます

 2016年に発生した熊本地震では、地震発生後3時間の検索データを朝日新聞社と共同で分析し、大きな災害が起きた時、被災地ではどんな情報が求められたのかを検証しました。5月28日には、この分析結果から見えた課題を、どうすれば解決できるのか探るイベント「熊本地震×検索データ 支援・防災にいかすには?」(主催:朝日新聞社、ヤフー)を、熊本県の熊本大学で開きました。

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検索データから見えたこと、見えなかったこと

 イベントには、熊本地震の被災地で支援活動を行う団体や弁護士、大学のチームなど5チームが参加。ヤフー ニュース・スポーツ事業本部本部長の宮本直人のあいさつに続き、各チームの提案が発表されました。最前線で支援に携わってきた参加者の目に、検索データはどう映ったのでしょうか。

(ニュース・スポーツ事業本部本部長の宮本直人)

 熊本地震で支援者の連携を図る取り組みをしてきたJVOAD(全国災害ボランティア支援団体ネットワーク)のチームは、検索データから地域住民の「困りごと」に着目。現地での活動で得た実感と比較しながら、インターネット上に必要な情報が分かりやすくまとまっていないのではないかと指摘し、支援者がウェブ情報を活用できるシステムの必要性を訴えました。他にも、検索データと現地の聞き取り調査を比較したチームからは検索データに表れにくい現地のニーズがある、といった報告もされました。

各チームの提案

【YMCAチーム】避難所の運営経験から検索データに表れていない現地の今を報告。住民間の「情報格差」を指摘し、行政と連携したメディアの情報発信などを提案。

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【弁護士チーム】検索データと日弁連の調査を突き合わせ、罹災証明を巡る混乱などを浮き彫りに。認定方法の簡略化など制度改正を提言。

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【JVOAD(全国災害ボランティア支援団体ネットワーク)チーム】被災者や支援者が必要な、時事性・ローカル性が高い情報にスムーズにアクセスできるシステムの構築。

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【朝日新聞チーム】検索データから災害時の人々のニーズを分析。必要な情報をあらかじめ掲出しておく災害ポータルサイトのサービス化。

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【熊本大学チーム】独自の指標を用いて検索データを分析。データに表れにくい課題にこそ深刻な悩みが隠れている可能性があるとし、課題の整理と多面的な支援の重要性を訴えた。

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(各チームの発表後にはパネルディスカッションも行われた。左からYahoo!ニュース・池宮伸次、YMCAチーム・冨森靖博氏、弁護士チーム・岡本正氏、JVOADチーム・明城徹也氏、朝日新聞チーム・奥山晶二郎氏、熊本大学チーム・円山琢也氏)

これから起こるかもしれない災害のために

 すべてのチームの発表後、登壇した熊本県の蒲島郁夫知事は、政治学者サミュエル・ハンティントン氏が提唱した「ギャップ仮説」を用いながら、行政の災害対応における検索データの可能性について話しました。

 「人は期待を抱いていて、その期待に対して対応がないと失望、不満がたまっていく。最初の期待は『人命救助』、次は『水と食料』というように期待は日々変わる。行政としては変わっていく期待にいかに早く応えていくかが、難しい。行政は、これまでの経験をベースに期待値の変化を予想していたが、データを分析することでより早くその期待値のスピードを測ることができる」。

(熊本県の蒲島郁夫知事。「ギャップ仮説」から行政対応のあり方を話した)

 その上で「検索データのようなマクロ分析とミクロの分析が共存共栄して素晴らしい災害対応ができるのではないか。マクロもミクロも経験もすべて動員して次の災害に備えることが大事だ」と話しました。

(朝日新聞社の長谷川玲・社会部長)

 朝日新聞社の長谷川玲・社会部長は「皆が連携して、迅速で手厚い支援を実現しなくてはならない」と話しイベントを締めくくりました。Yahoo!ニュースでは今後も、検索データを災害時の課題解決に活用するあり方を考えてまいります。

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