Media Watch2015.01.26

次世代のジャーナリズムってなんだ!?――「ジャーナリズム・イノベーション・アワード」に行ってきた

昨年ネットで公開されたジャーナリズム作品の中から、来場者の投票で優秀作品を選ぶ「ジャーナリズム・イノベーション・アワード」(主催:日本ジャーナリスト教育センター)が1月24日に開催されました。

最優秀賞は「台風リアルタイム・ウォッチャー」(首都大学東京渡邉英徳研究室)、データジャーナリズム特別賞は「地図が語る戦没者の足跡」(沖縄タイムス戦後70年取材班)が選ばれました。エントリーされた全38作品のうち上位5作品は以下の通り。

「台風リアルタイム・ウォッチャー」の首都大学・渡邉英徳准教授、データジャーナリズム特別賞「地図が語る戦没者の足跡」の沖縄タイムス・與那覇(よなは)里子記者

会場はメディア関係者やジャーナリズムを志す学生などで大盛況でした。ニュースの未来に興味津々な私たち「Yahoo!ニュース オフィシャルスタッフブログ」も会場に潜入! 現地の様子をご紹介します。

来場者の投票で上位5作品を選出。決戦プレゼンを経て最優秀賞が決まった

●ジャーナリズム・イノベーション・アワードとは?

ジャーナリズム・イノベーション・アワードは「次世代を切り開くジャーナリズム作品」を一堂に集めたイベント。作品の形式はニュース、ルポ、解説、写真、動画などさまざまです。ヤフーからも「Yahoo! JAPAN ビッグデータレポート」「ASK NIPPON 2014」といった作品を出展したほか、協賛社としてイベントをお手伝いさせていただきました。

出展者は、朝日新聞や毎日新聞、NHKといったマスメディア、ハフィントン・ポストや弁護士ドットコムなどのネットメディアに加え、NPO法人や個人での参加もありました。報道機関のブースの横で、薬剤師さんが「ドラッグストアとジャーナリズム」について語るブログを出展していたり、ライターのヨッピーさんと有限会社ノオトが悪質なバイラルメディアと戦った記録を紹介していたりと、良い意味で“カオス”。多彩なジャーナリズムに触れることができます。

NHKなどの大手メディアが出展

薬剤師さんの個人ブログもジャーナリズム

ヨッピーさん(中央)と有限会社ノオトの皆さん

●全国津々浦々ジャーナリスト

最優秀賞の「台風リアルタイム・ウォッチャー」(首都大学東京渡邉英徳研究室)は、Google Earthの地図上で台風の動きを再現するもの。気象庁が発表する台風情報と、ウェザーニューズのサービスの会員が各地から送ってくる気象リポートを1つの地図にまとめました。つまりトップダウンの観測情報をボトムアップの情報で補完している点がこのサービスの最大の特徴です(詳細は渡邉研究室のブログ記事へ)。

最優秀に選ばれて笑顔

コンテンツデザインを研究しているという渡邉准教授は、こうしたボトムアップの情報について「人間センサーはすごい」と話し、「ウェザーニューズの会員が普段から使命感をもって気象レポートしている。ジャーナリストの心を全国津々浦々の人が持っていて、そこを引き出すのがこれからのジャーナリズムではないか」と語っていました。

●生存者ではなく戦没者の目線で

データジャーナリズム特別賞は「地図が語る戦没者の足跡」(沖縄タイムス戦後70年取材班)が受賞(沖縄タイムスの紹介記事)しました。激戦地だった具志頭村出身者の死亡地域を地図に落とし込み、沖縄戦の戦没者の足跡をたどるというコンテンツです。生存者ではなく“戦没者”の目線で当時の状況を明らかにしたい――そんな記者の思いが形となりました。

沖縄タイムスに昨年3月に新設された「デジタル部」の記者らが2カ月をかけて完成させたそうです。大きな写真、生存者の音声、縦スクロールで時系列を追いかけられる構成など“Webならでは”の表現が満載。こうしたイマーシブコンテンツと呼ばれる手法、NHKが出展していた「御嶽山『噴火の証言』」などでも見ることができました。 沖縄タイムスの與那覇(よなは)里子記者は「もっと良い作品をつくって、ジャーナリズムを突きつめていきたい。地方からもチャレンジできるんだということがわかりました」と手応えを語っていました。

ジャーナリズム・イノベーション・アワードの記事

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