Inside2022.02.16

「家庭に自分の代わりはいない」男性の育休、Yahoo!ニュース トピックス編集部で取った3人に聞いた

厚生労働省が2021年7月に発表した「令和2年度雇用均等基本調査」によると、男性の育児休業取得率は12.65%。初めて10%超えを果たしたとはいえ、女性の場合、81.6%が育児休業を取得していることを踏まえれば、決して高い数値とは言えません。

自社メディアでは「男性も育休を取ろう」と報道していても、いざ自分が取得するとなると、まだまだハードルの高さを感じているメディア関係者の方もいるのではないでしょうか。24時間ニュースを届ける、Yahoo!ニュース トピックス編集部では男性スタッフが育休を取る動きが進んでいます。

今回は実際に、育休を取得したYahoo!ニュース トピックス編集部の男性スタッフ3人に、それぞれの体験を聞いてみました。実際に取得してみると、思いがけない発見がたくさんあったと言います。男性の育休取得によるメリットやそれをはばむもの、仕事への影響は?

取材・文/友清 哲
編集/ノオト

参加者プロフィール

田中郁考
2014年にヤフーに新卒入社。子どもの食べ残しを食べる係として順調に増量中
天津雄一郎
地方紙記者を経て2019年にヤフー入社。娘の髪をドライヤーで乾かしているときが至福の時間です(娘の逃走率70%)
菅将徳
地方民放記者を経て2018年にヤフー入社。最近、娘が「ママ」しか言わなくなり、寝ている間に「パパ」とささやき、呼んでもらえるように画策中

Yahoo!ニュース トピックス編集部、3人のそれぞれの育休

――まずは皆さんそれぞれ、いつ頃からどのくらい育休を取られたのか、経緯を交えて教えてください。

田中
私は2021年6月から7月にかけての約1カ月間お休みをいただきました。今回生まれたのは次男で、妻は遠方の実家で里帰りの出産予定。私と長男だけ現在の住まいに残るのか、それとも一家全員で妻の実家へ行くのかという、2つの選択肢がありました。
結局、長男が母親と長く離れて暮らすことに不安を感じ、みんなで妻の実家へ行くことに決めました。長男の世話をしながら、妻と次男の育児もできるので。
天津
私は2020年11月末から2021年2月初旬までなので、2カ月強ですね。もともと私は福岡県在住で、妻が岡山県で働いている変則的な夫婦生活で、2拠点を行ったり来たりしている状況でした。
岡山は妻の故郷でもあるので、そのまま実家のそばで第一子を生むことになりましたが、産後の体調があまり良くなかったため、育休を取って私も岡山に行くことにしました。
私も第一子が生まれた2020年12月の頭から1カ月程度、お休みを取っています。ただ会社の育休制度ではなく、年末年始の休みと有給休暇を重ねて、2週間の休みを確保しました。私は育休を取るにあたって妻と話し合ったわけではないのですが、育児に主体的に取り組みたいという思いがあり、自然と休むという選択になりました。

――皆さんやはり、長期の休みを取るということで、事前の調整には苦労されましたか?

田中
私の場合、育休を取ろうと決めたのが4月で、休みに入るまで2カ月しかなく、上司には負担をかけてしまったかもしれません。今は別部署へ異動してしまったのですが、当時は私も他の2人と同じくシフト勤務をしていたので、他のメンバーとの予定調整は必要だったと思います。
天津
やはりその点、心苦しさはありますよね……。でも、不安や申し訳なさを感じていても、「いついつから育休を取ることになりました」と報告したら、「わかった、いってらっしゃい」と言ってもらえたので、拍子抜けしました。
田中
たしかにそういう土壌はありますよね。
天津
何より、いろいろな方から「仕事のことは何も心配しなくていいからね」と言ってもらえたのはありがたかったです。これは育休に限らず、日常業務の中でも急病や急用などで休まなければならない場合、スムーズに業務を引き継げる体制がYahoo!ニュース トピックス編集部の中でできあがっているのが大きいと思います。
災害など有事の際にも誰かがサポートに入りますし、チームで動いているという意識があります。業務内容をドキュメント化し、こまめに情報共有する文化があるので、育休復帰時のタイムラグを埋めるときにも役立ちました。
ただ、菅さんと一緒に参加しているプロジェクトが進行中だったので、育休のタイミングがかぶってしまったのはちょっと気になっていました。同時に2人抜けることになって、さすがに大丈夫なのかなと。

――菅さんは先ほど、「育休を取るのは自然な選択だった」と言っていました。

そうですね、短期間でも出産に合わせて妻と共に育児をしたいと思っていました。
私の場合、プロジェクトにアサインされた時点で「12月に育休を取らせてもらうつもりです」と伝えておいたのはよかったと感じています。もちろん、プロジェクトメンバーへの申し訳なさもありましたけど、メンバーが快く送り出してくれたので、安心して仕事を任せられました。
幸い、予定日ぴったりに生まれてきてくれたので、事前に決めていた通りのスケジュールで休みを取ることができました。

業務から長期離脱することへの不安は?

――ちなみに育休期間中に、仕事の連絡が来ることはなかったですか?

田中
そうですね。とくに私と天津さんの場合は育休制度を使っているので、いったんパソコンやスマートフォンを会社に返却しなければならないんです。なので、2カ月間は社内のシステムに入ることもできませんでした。
私は有給休暇を使っていたので、その手続きはなかったです。パソコンやスマホをいったん初期化して、復帰したらまた設定するというのは労力がかかる作業ですよね。
田中
確かにそこは少しネックかもしれません。
天津
2カ月の間、業務の状況がまったくわからないのは、少し不安でした。途中で引き継いだプロジェクトに、何か大きなトラブルがあったらどうしよう、とか。
一方で、他のメンバーがなんとかしてくれるという安心感、信頼感もありました。実際、いざ戻ってみたらすべて問題なく進行していて「なんだ、だったらもっと休めばよかった」と思ったくらいです。
それぞれのスタイルに合わせて選べるといいですよね。

――なるほど。考えてみれば、長期の休みを取るというのは一大決心でもあるわけですね。

田中
私の場合、長男が生まれた時には育休を取らなかったんです。妻だけが実家に帰って出産をして、しばらく向こうで生活していました。そのため、育児についてなんだか出遅れてしまった感があり……。次男の時には、休みを取って家族と一緒にいようと決めていました。
天津
私は妻の体調を回復させることを最大のミッションとして、育休取得を決めました。育児に加え、家事なども自分が一手に担えば、妻も安心して通院や治療に専念できますから。
田中
育休のために引き継ぎ作業をしたことはよかったです。業務の棚卸しというか、自分が手掛けていることを整理し、把握し直すきっかけになりました。普段は日々の業務に追われて、なかなかそういう機会を作れないので。

育休期間が親になることを意識する機会に

――育休中は皆さん、どのような生活をされていましたか?

家事や育児をするつもりで育休を取ったんですけど、うちも里帰り出産で義父母が近くにいたので、私は実質、戦力外でした……。それでも、とくに子どもが生まれてからは、自分なりにやれることを探して、一生懸命取り組むという毎日でした。
田中
うちの場合、妻はどうしても新生児の次男にかかりきりになりますから、どちらかというと私が長男の面倒を見るという役割分担でした。長男と公園で遊んだり、義理の実家の手伝いをしたり、これはこれでいい時間だったと思います。
天津
それでいうと、私はちゃんと準備をして、もっと長く休暇を取るべきだったという後悔もあるんです。

――と言いますと?

天津
よく言われることではありますが、女性は妊娠、出産を経て親になることを意識する機会が増えます。しかし、男性は出産間際まで今まで通りの生活ができてしまう。だから、「親になる」「家族が増える」という意識に切り替わるのが遅れてしまいがちです。
そんな男性にとって家族に向き合う育休は、意識改革のための重要な機会。「仕事があるから」という言い訳はできないですし、夜泣き対応などは実際体験することでその大変さが分かります。それぞれが大変さを知っていれば、困っているときもお互いにうまくサポートしあえます。妻子と一緒に過ごしたことは、親になる上でかけがえのない時間だったと感じています。
それは私も同感です。こればかりは予習だけでどうにかなるものでもなく、身をもって体験しなければ実感は湧きにくいですから。
私の場合、育休復帰後は時間管理の考え方が変わりました。これまでは仕事を週単位や月単位で管理していましたが、今は子どものご飯やお風呂などの時間が決まっているため、1日単位で優先順位を決めてタスクを処理していくことも増えました。また、これまでは仕事を通してスキルアップしたいという思いが強かったですが、今は家族のために働いているという意識が強いです。

他の人の育休も全力でサポートしたい

――育休を経験して、皆さんがさまざまな気づきを得たことが伝わってきます。

田中
振り返ると、育休を取ったことにマイナス面は感じませんでした。理解のある上司や同僚に恵まれたという環境的な要因も大きいですが、業務にもすんなり復帰できました。これからお子さんが生まれる人は、取得できるなら勇気を出して育休を取得してほしいと思います。あなたが育休を取ったことが会社の前例となり、他の人がそれに続いていける環境ができていくかもしれません。
どんなプロジェクトを抱えていようとも、自分1人が少し抜けたところで、思っているほどの影響はないのかもしれません。あえて、そんなふうに気軽に考えるのもいいのではないでしょうか。
天津
本当にそうですね。語弊があるかもしれませんが、会社には自分の代わりはいますが、家庭には自分の代わりはいません。
田中
職場の仲間をもっと信用して、安心して休めるといいですよね。実際、自分が育休を経験してみて「他の人の育休も全力でサポートしたい」という気持ちになりました。
私のように他の休暇制度を用いれば、在宅で対応することも可能です。このあたりは、リモートワークが進んだことの恩恵ですね。
天津
育休経験は、仕事面でもポジティブな影響を与えるのではないでしょうか。例えばYahoo!ニュース トピックス編集部のスタッフとしての観点で言えば、子育て関連のニュースには敏感になりました。
田中
それはありますよね。以前よりもさらに、当事者目線で実情に根ざしたニュースをピックアップできるようになったような気がします。

――あらためて、男性の育休取得をはばむものは何だろうと思いますか?

田中
会社、社会、自分の内面的な問題、それぞれの視点があると思います。ヤフーは育休を取りやすい会社でしたが、社会的な浸透はまだまだこれからだと感じます。内面的な問題でいうと、やはり仕事で長期離脱することへの申し訳なさが大きいです。繰り返しになりますが、そこは勇気を持ってほしいです。
私も、育休を取ろうか迷っている人がいるなら、短い期間でもいいので一歩を踏み出してみてほしいと思います。
天津
仕事を休むことだけでなく、育児をきちんとできるのかという不安もありますよね。ですが、やる前から不安に思っていても仕方ないですし、子どもと一緒に時間を過ごすこと自体も立派な育児だと思います。
私は自分の子どもが大きくなった時に、「きみが生まれた時、お父さんの職場の仲間がみんなサポートしてくれたんだよ」と聞かせてあげたいですね。わたしも、田中家や菅家の育児に参加したつもりでいます。育休は、ヤフーの仲間が間接的に育児に参加するという意味もあるのかなと思います。この輪を、ぜひ今後も広げていきたいです。

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