Inside2022.12.28

Yahoo!ニュースが取り組む「電力需給ひっ迫 使用状況や節電方法」

国民的な大型イベント、社会を揺るがす大きな災害・事件が起きたそのとき。Yahoo!ニュースはスピーディーに対応する取り組みをしています。社内で「特設サイト」と呼んでいるもので、いま力を入れているのが「電力需給ひっ迫」というテーマです。エネルギー価格の上昇、暖房使用による電力需要増加などの理由で、電力安定供給への懸念が高まっています。政府は2022年夏の節電要請に続き、この11月に「無理のない範囲での節電の協力の呼びかけ」を発表しました。Yahoo!ニュースの「電力需給ひっ迫」に関する取り組み」を統括する西勇哉、清水真望に加えて、オリジナルコンテンツ制作で連携する角野雅美に聞きました。

取材・文:Yahoo!ニュース

西勇哉
トップページ サービスマネージャー
清水真望
トップページ編成部 部長
角野雅美
「ビジュアルで知る」プロジェクトマネジャー

もともとは災害対応から始まった

――Yahoo!ニュースの「特設サイト」とはどのようなものなのでしょうか?

西
もともとは、災害時に情報を提供するページとして、台風などの予報や災害の有無や状況などを一つの場所にまとめていたページでした。コンテンツパートナーから配信をいただく記事に加えて、天気図や雨雲レーダーを時系列で表示し、図表などグラフィック化した情報を組み合わせることで災害の全体像を伝えてきました。それをさまざまなテーマごとに、広げていったものが特設サイトになります。

「ロシアのウクライナ侵攻」報道に対応、Yahoo!ニュースの組織横断チーム「ウクライナ編集部」の現場

――こういったページを作る「きっかけ」があったのでしょうか?

西
新型コロナウイルスの感染拡大がきっかけです。日々配信されるパンデミックに関するニュース記事の中から、どのようにユーザーに伝えるべき情報を編成したらよいのかという状況でした。そんな中から「やらねばならぬ」という意気込みで、災害時に使っていた特設サイトの仕様を再構築し、さまざまな情報を必要に応じて組み合わせて最適なページを作れるようになりました。
清水
災害などの有事に際してユーザーの生命・財産を守るための情報発信に努める編集方針があります。以前から対応すべき有事の一つとして「感染症の大流行」なども挙げられていました。実際に感染症として対応することになったのは、新型コロナウイルスが初めてです。

――「電力需給ひっ迫」というテーマはどのように決まったのでしょうか?

西
災害対応という観点からでした。2022年の3月に、政府から「電力供給ひっ迫警報・注意報」が発表されたことがきっかけです。この注意報は東日本大震災以降に運用が開始されたものでしたが、発表はこの3月が初でした。今年は突然の寒波があり、暖房費も高まり、天気も悪かったことで太陽光発電量も少なく、電力会社の電力供給がひっ迫していました。社内外の各所から要請をいただいたこともあり、いつが一番(電力供給が)厳しい時で、その時にどういう状況になりそうなのかという情報を掲載しました。また、ユーザーに節電を呼びかけ、その方法も一緒にお知らせしました。2022年夏にも節電要請があり、この11月には政府の「無理のない範囲での節電の協力の呼びかけ」がありました。需給の状況を含めて、いまどういう状況なのか、これからどういう状況になるのか、どういう危険性があるのか。こういった情報をしっかり提供することはわれわれの責任としてやっていくべきだと思います。

新たな取り組み「でんき予報」始まる

――いま、どのような状況なのかを分かっていただくことが大切なのですね。

西
はい。そういう意味でも、防災の一つの領域として捉えることができると思います。さらに言えば、節電のために、どういうことを準備しておかなければいけないのか、といったことも情報提供に必要だと思っています(下記画像は参考です)。

――Yahoo! JAPANのトップページで掲出されるパーソナライズされた記事とは何が違うのでしょうか?

西
ユーザーはトップページから読みたい記事を探すこともできるのですが、特設サイトには重要性の高い情報がまとまっています。電力の需給状況、関連記事、分析や専門家の意見もあります。さらに、実際に自分でできる節電方法があるかどうかも書かれています。ユーザー自身が実際の行動にまでつなげることができる、ある種のオールインワンを目指していこうと思っています。

――コンテンツを集めるためには、社外との連携が大事になってきますね。

西
そうですね。電力に関するデータをご提供いただく皆さま、記事を提供いただくコンテンツパートナーの皆さまとの連携は当然必要ですし、専門家のご意見をいただきたい場合はニュース個人のオーサーの皆さまとの連携も必要になります。特設サイト一つを作るにしても、さまざまな知見を組み合わせていく必要があります。

――今後どのようなコンテンツが増えていく予定でしょうか?

清水
この冬、「電力需給ひっ迫警報注意報」が出た場合は、ページにしっかり掲示していきます。また全国の電力会社からご提供いただく電力使用量を「でんき予報」として展開します。ご自身の住んでいるエリアや知りたいエリアの電力使用量をリアルタイムで確認できます。さらに円グラフをクリックした先には、1時間ごとの「供給予備力」が実績と比較できる棒グラフで表示されているので、供給量があとどのくらい残っているのか、また電力が多く使われる時間はいつなのかがビジュアルで理解できるようになっています(下記画像は参考です)。

西
赤く表示された時間帯は気をつけて電力を使うといいな、などがわかると思います。ページを下にスクロールしていくと、節電効果がある電気製品の使い方や気象情報、関連ニュースなども確認できます。

――今回の「電力・節電」に関する情報を届けるにあたり工夫した点はありますか?

清水
「でんき予報」で表示する情報を絞り込むことや、見せ方の工夫は頭をひねったポイントだったりします。その日の電力使用率のピークが何時なのかなどを極力シンプルにお伝えしています。

――ユーザーの皆さまにどのように使ってほしいでしょうか?

西
困ったことがあった際、Yahoo!ニュースに来れば「信頼できる情報があるだろう」と思っていただけることを目指したいです。コロナにおいても、選挙においても、スポーツなどの大型イベントにおいても同様です。ユーザーの皆さまが最初に選ぶ場所になりたい。それをサイトとして具現化するのが、特設サイトだと思っています。
清水
特設サイトは、いろいろな情報を組み合わせて構成しているページなので、いざというときに自分の行動に何かつながるきっかけになってほしいなと思います。そして実際に便利だった、役に立ったという体験を重ねていただけたら嬉しいです。

特設サイトには、電力会社やコンテンツパートナー、そして多くの専門家からの情報提供がなされています。その一方、Yahoo!ニュースからのコンテンツ提供も行われています。「電力・節電」をテーマにしたオリジナルコンテンツ、「ビジュアルで知る」を制作している角野雅美に聞きました。

――「電力・節電」に関するオリジナルコンテンツを、どういった狙いで制作しているのでしょうか?

角野
ユーザーが抱いている課題感を受け取って、それに対する返答になるコンテンツを制作しています。いま、どんな状況なの? 本当に節電が必要なの? そんな思いを持ちながら日々過ごしているユーザーに「電力」についてコメントを募り、それに対するアンサーを届けたいと思っています。

【みんなで考えよう】停電で困ったことはありますか? その時役立ったものは何ですか?

――コンテンツ作りで発見はありましたか?

角野
もし、停電になったらどうするか? その際に「便利だったもの」としてアナログな道具(石油ストーブなど)がコメントに多く集まったのですが、身近なアイデアとして「お菓子で疲れた心を癒やす」ですとか、「現金を小銭で持っておくと、ちょっとした買い物に役立った」など、生活の知恵になるコメントも集まりました。

――制作にあたり大切にしていきたいことはありますか?

角野
コメントでユーザーの皆さんから意見を募り、グラフィックで可視化して伝えることが、「ビジュアルで知る」のコンテンツの特徴であり、意義だと思っています。この冬も電力需要が厳しいという状況の中、たくさんのコメントをいただきました。これからもユーザーの皆さんの声を大切にしてコンテンツ制作をしたいと思います。

Yahoo!ニュース オリジナル 特集「ビジュアルで知る」

「困ったこと、気になったことがあった時はすぐにYahoo!ニュースがあると思っていただけることを目指したい」と語る西、「自分の行動につながるきっかけになってほしい」という清水、「ユーザーの皆さんの声を大切にしてコンテンツ制作をしたい」という角野。Yahoo!ニュースの特設サイトではこんなスタッフたちが働いています。大きな出来事が起きたそのとき、最初に選んでもらえる場所にするために何ができるか。Yahoo!ニュースは動き続けます。

※2022年12月27日現在、特設サイトで紹介しているでんき予報情報は北海道、東北、東京の3エリア分です。

お問い合わせ先

このブログに関するお問い合わせについてはこちらへお願いいたします。