選挙時の“フェイクニュース”に気を付けて Yahoo!ニュースが高校3年生に出張授業
写真:アフロ
Yahoo!ニュースでは、中学、高校、大学を対象にインターネット上の情報と向き合う際の注意点などを知ってもらう出張授業をしています。昨年春から始めて、これまでに1300人以上の生徒・学生と接してきました。
授業では「フェイクニュース」とも呼ばれる偽情報や根拠が乏しい情報が、選挙時にネット上で多く飛び交う恐れのあることについて注意を喚起しました。高校3年生の中にはすでに選挙権を有する学生もいます。参院選(7月10日投開票)を控える中、5月に都内の高校で開催した授業を紹介します。
授業風景。宮本が講義をした後、生徒たちがグループに分かれてフェイクニュースに備えるために何をすべきなのかを話し合って書き出しました(写真提供:聖学院高等学校)
今回、出張授業を行ったのは聖学院高等学校(東京都北区)。5月13、16、17日の3日間にわたって3年生の3クラスを対象に、計6コマの講義をしました。講師を務めたのはYahoo!ニュースでコンテンツ制作や品質管理などを担当する宮本聖二です。
授業では、識者らが解説するYahoo!ニュース制作の教材「フェイクニュースへの備え〜デマや不確かな情報に惑わされないために〜」を主に用いながら以下のような点を紹介しました。
- フェイクニュースには(1)不正確な統計や写真説明などの「誤情報」と(2)意図的に改ざんした情報、でっち上げた陰謀論やうわさなどの「偽情報」――の2種類がある
- コロナの流行や大震災のような危機発生時、選挙の時に出回る
- 拡散手段で最も多かったのが友人・知人・家族との直接の会話
- 偽情報等に接した人のうち、75%が偽だと気付けていないとの調査がある
そして、
「もう18歳になった人はいますか?」。宮本がクラスに問いかけると、ちらほらと挙がる手が。授業を受けた高校3年生の中にはこの夏の参院選で投票できる生徒もおり、他人ごとではないのです。
まず、実際に偽情報、誤情報が多く発生した2018年の沖縄県知事選を題材にしました。特定の候補に関する根拠のない情報がネットを中心に飛び交い、それらに接した当時大学2年生だった女性がどの情報を信じたらいいのか、どちらの候補に投票したらよいのか、翻弄(ほんろう)されていった実話を提示しました。
女性は、その情報が真実かどうかを知りたくて自ら関連情報を調べたと言います。しかし、特定の情報を探そうとすると、自身の持っている知識や信じたい情報ばかりが頭に入ってくる「確証バイアス」に陥り、女性は一層混乱していきました。
また、インターネットサービスが利用者の嗜好(しこう)に合わせて求める情報を届けてくれる機能が発達したことで、似たような情報の「泡(バブル)」に包まれて多様な情報に触れることができなくなる「フィルターバブル」という現象が起きることを女性の体験を通じて紹介しました。
では、どのような点に気を付ければいいのでしょう。
授業では
- 家族や友人・知人からの情報であっても、一度立ち止まって考える
- 少しでも不安を感じたら周囲の人に伝えない、SNSで拡散しないと心がける
- 新聞や公的機関、マスメディアなど信頼できるウェブサイトな複数の情報源で検証してみる
などを対策として紹介しました。
授業に参加した生徒たちの反応です。
「フェイクニュースを身近に感じた」
「私たちの世代にそった内容で、沖縄県知事選など自分たちの日々の行動と照らし合わせることができた」
「(情報が)どういう風に世に出回り、どのような被害が出るのか分かることができた」
「今年で成人する私たちだからこそもう少し発展的な事も聞いてみたかった」
「フェイクニュースと分かった時に私たちがどうすればいいのか分からなかった」
授業を受け入れてくださった大川功先生はこう語っています。
「選挙の話については、彼らが選挙権を持つ年齢を迎えたことも相まって、最も真剣に見ていました。(授業で実例として紹介した女性)本人は投票前にフェイクであることに気付いたものの、『もう友達に話しちゃったよ』と語っており、リツイートしてしまいがちな高校生としては切実だったようです。高3ということを考えると、『選挙戦におけるフェイクニュース』というテーマに絞って解説し、議論させても面白かったと思います」
Yahoo!ニュースは、これからも生徒・学生たちとこの重要なテーマについて考えていきます。
なお、選挙時の情報収集における注意点などをまとめたインターネットリテラシーに関する特設サイトも開設しています。合わせてご覧ください。
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