栃久保誠

【PR】「できていない部分」を受け入れる――子どもの自己肯定感の育て方

2018/2/22(木) 8:30 配信

近年、子育てにおいて「自己肯定感」の醸成が注目されている。子どもが自らを肯定できるようになるためには、ありのままの子どもの姿を認めることが大事な要素の一つ。しかし、常に時間に追われているがゆえ、つい子どもの「できていない部分」「思い通りにならない部分」に目を向け、イライラを募らせる共働き夫婦も少なくないだろう。子どもの自己肯定感を育むために、親は何を心がけてどう接すればいいのか。具体策を探った。

つい感情的に怒ってしまう

「子どもの寝息を聞きながら、後悔するんです。夕食のとき、たかが箸を落としたぐらいで、なんであんなに厳しく言ってしまったんだろうって……」

神奈川県藤沢市に住む松岡秋子さん(仮名、34)は、夫の正人さん(仮名、39)、5歳の息子との3人暮らし。日中は息子を保育園に預け、夫婦ともにフルタイムで勤務している。秋子さんは都内、夫は埼玉県内に職場があり、通勤時間が悩みの種。正人さんは仕事柄、月に一度は長期で家を不在にするため、おのずと秋子さんは家事や育児を"ワンオペ"でこなすことが多いという。

「帰りの電車内まで、メールの返信など仕事の対応が続くこともしばしば。なかなか気持ちを切り替えられない」と秋子さんは話す(撮影:栃久保誠)

「帰宅は早くても19時。22時までに寝かしつけたいと思うと、時間に追われて余裕のある態度を取れないんです。特に仕事が忙しくて疲れている日はダメですね。叱るなら、冷静に事情を聞いてから諭すようにしないとって、頭ではわかっているのですが……」(秋子さん)

保育園で息子がほかの子と物を取り合ったときなど、周囲との関わり方を正す際は「冷静にならねば」というスイッチが入る。しかし、箸を落とす、食事中に肘をつくなど、日常の些細なルールについて注意するときには、つい我が子に対して声を荒らげてしまいがちだと夫妻はうなずき合う。

「気持ちと時間に余裕のある休日なら、何かを注意するときも感情的にならずにすむのですが……」(秋子さん)(撮影:栃久保誠)

「息子への接し方については、夫婦でもたびたび話し合ってきました。最近やっと『日常的なルールを守れないときほど感情的になりやすい』と気づき、2人で息子を責めないようにしようと決めたばかり。でも、疲れていると感情を止められないんですよね」(正人さん)

小さなことで叱り続ければ、あとは悪循環だ。正人さんの言葉を引き継いで、秋子さんはこう漏らす。

「叱られ続けると、息子がビクビクしていたり、やたらくっついてきたりするのがわかるんです。そうすると、『またやってしまった』と罪悪感にさいなまれます」

自分の存在を肯定的に捉えるベースは乳幼児期に

「子どもの褒め方・叱り方は、親にとって悩みの種。こと近年は『自己肯定感』と絡めて乳幼児期からの接し方が重視されています。理想と現実のギャップに苦しむ親御さんもいるでしょう」

全国100カ所以上の幼児・学校教育の現場を取材する、NPO法人いきはぐ代表の征矢里沙さんはこう話す。

2012年、NPO法人いきはぐを設立した征矢さんは、子どもたちの「生きる力」を育む教育を広めるために、サイトでの情報発信や執筆、講演活動を行う。自身も4歳と1歳の子どもを育てるワーキングマザーだ(撮影:中道薫)

「簡単にいえば、自己肯定感とは『何かができても、できなくても、自分は生きていく価値がある存在なのだと肯定的にとらえる気持ち』です。『何かができない自分』を認めることで、できないことに対して前向きに努力する気持ちが芽生えます。似た言葉に『自尊感情』があり、これらはほぼ同義語として使われています」

また、自己肯定感は他者と認め合いながら生きる力にもつながるという。他者ができないことに対して共感したり、「これはできないけど、あれはできる」といった肯定的な解釈をしたりできるようにもなるからだ。

2013年、日本を含めた7カ国の満13~29歳の若者を対象に行われた「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」(内閣府)から

自己肯定感は近年、教育の現場で注目されている。2017年6月、政府の教育再生実行会議は「自己肯定感を高め、自らの手で未来を切り拓く子供を育む教育の実現に向けた、学校、家庭、地域の教育力の向上(第十次提言)」を公表。教育再生の軸の一つに「子どもたちの自己肯定感の向上」を掲げ、さまざまな取り組みを進める必要があるとした。

背景にあるのは、諸外国に比べて日本の子どもの自己肯定感が低いとするデータだ。たとえば、2013年に日本を含めた7カ国の満13~29歳の若者を対象として行われた「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」(内閣府)によれば、日本では諸外国に比べて「自分自身に満足している」と答えた人の割合が低い。

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