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森カズシゲ

【PR】就寝は同室か別室か――夫婦円満のための睡眠のかたちを考える

2017/11/21(火) 09:36 配信

オリジナル

共働き夫婦は、一日のタイムスケジュールが異なりがち。就寝時間も例外ではなく、寝ている相手をうっかり起こしてしまうことも。とはいえ単に寝室を分けるだけでは、夫婦間コミュニケーションが不足する恐れがある。うまい落とし所はあるのか、快眠と夫婦関係を両立させる方法を探った。

同室にはこだわりたいけれど

東京都墨田区に暮らすITエンジニアの福田晃司さん(32)とコンサル企業に勤める桜子さん(30)は7年以上にわたって同室で眠っている。「別室は考えられない」と2人は言う。

2010年から同居を始めて以来、結婚・出産後もセミダブルサイズのベッドで一緒に眠る福田夫妻(撮影:栃久保誠)

「同室のメリットはスキンシップが取れること。寝顔や寝息で、相手が生きている気配を感じるのが大事だと思っています」と桜子さん。「経済的でもありますしね」と晃司さんもうなずく。夫婦の時間を持ちやすく、なにより安心して眠れる。

2017年に長女が誕生してからも、できるだけ3人で同じベッドに眠るようにしている。早めに床に入る桜子さんと、夜遅くまで起きている晃司さんの就寝時刻にはズレがあるものの、今のところ睡眠ストレスは感じていないという。

「夫が家事をしてくれるので、私は昼寝をする余裕がある。もし彼が産休を取得していなかったら、睡眠時間を削って家事・育児をすることになり、不満が溜まったと思います」と話す桜子さん (撮影:栃久保誠)

現在は授乳のために寝室は常に小さな明かりが灯っているが、どこでも熟睡できる晃司さんに不満はなく、桜子さんも昼寝で寝不足を解消している。

さらに、福田夫妻はそろって育休中だ。家事・育児の分担はもちろん、夫妻が同じペースで生活できることも睡眠をとりやすい一因になっている。ただ、夫妻は来年3月に育休を終える。桜子さんは不安をのぞかせる。

「育休を取得するまでは、家電を活用して家事の負担を減らし、お互いの睡眠時間を確保してきました。復帰後はベビーベッドを導入して、また夫婦2人で眠れたらとは思いますが、まだ何も準備できていません」

夫婦同室で眠る妻の6割がストレスを感じる

とりわけ共働きの世帯では、出勤や帰宅、食事の時間はもちろん、起床や就寝などのタイミングもずれがちだ。不動産・住宅サイト「SUUMOジャーナル」が2017年7月に行った「夫婦の暮らし方に関するアンケート」によれば、夫の35.1%、妻の62.7%が、夫婦が同室で眠るときにストレスを感じ、その理由の1位が「いびきがうるさい」(47.8%)、2位が「就寝時間や起床時間の違い」(30.0%)となっている。

睡眠コンサルタントの友野なおさんはこう話す。

科学的な行動療法からの睡眠改善、快眠を促す寝室空間づくりを得意とする友野なおさん。「最もストレスを感じやすい『いびき』予防は、市販のいびき防止専用のテープやマウスピースなどを使うと効果的です。また、仰向けで眠るといびきをかきやすいので、横向きで眠るのがおすすめ。寝る前のアルコールもいびきの原因になりやすく、飲むタイミングを夫婦で話し合うといいですね」と話す(撮影:栃久保誠)

「特に妻が常勤、夫が交代勤務の場合は妻に負担がかかりやすく、結果的に夫婦の不和につながりかねません。臨機応変に寝室を分けられるのが理想ですが、難しい場合は先に寝ているパートナーを起こさないように、『音』と『光』に注意してください。例えば、人は、電気のスイッチがカチッと鳴る45デシベル程度の音でも覚醒反応が起こるレベルといわれています。また、睡眠中もまぶたを通して光を感知しており、脳に影響します。パートナーが寝ている場合は、図書館レベルの静けさを保ち、そばでテレビや照明をつけないように意識しましょう」

もちろん、同室で眠ることはデメリットばかりではない。上手にストレスを軽減できれば、「睡眠の質から見て、一緒に眠るメリットは大きい」と友野さんは言う。

「夫婦関係が良好なら、相手の温もりに触れる安心感は熟睡につながります。高級な寝具や素晴らしい環境よりも、本人が心からリラックスすることのほうが重要なのです。また、2人で眠ることは睡眠障害を発見するきっかけにもなります。なかでも『睡眠時無呼吸症候群』は多くの疾病を引き起こす重大な睡眠障害で、早期発見が大切です。パートナーに『息がしばしば止まる』『いびきが大きすぎる』『寝言がはっきりしている』『眠りながら動き回る』などの症状が見られたら、すぐに医療機関を受診してください」

寝室を分けて快適に

一方で、同室だった寝室を別室に変えた夫婦もいる。

東京都品川区の3LDKのマンションに暮らす共働きの戸高夫妻。飲食店を営む夫の雄平さん(33)は、日付が変わってからの帰宅が当たり前。妻の彩さん(41)と4歳の娘が物音で起こされることもしばしばだったが、1年前までは8畳の洋室に布団を敷き3人で眠っていた。別室に変えたきっかけは、娘の風邪だった。

2010年から同居し、結婚・出産後も同室で眠ってきた戸高家。しかし、子どもの睡眠状況が気にかかり……(撮影:小野奈那子)

「夫へうつさないよう、私と娘は別室で眠ることに。娘は広々としたスペースのおかげか、熟睡していました。以来、寝室を別にしたんです」と彩さんは言う。

現在、雄平さんは洋室に、彩さんと子どもは6畳の和室に布団を敷いて眠っている(撮影:小野奈那子)

寝室を分けたのは、もちろん夫婦にとってもメリットがあったからだ。「別室にしてから、途中で目が覚めることが減った」と2人は口をそろえる。雄平さんは、「一緒に眠り始めた当初は、いびきも気になると言われていましたね。夜中のトイレの出入りでお互いに起きてしまうこともありました」と振り返る。

「僕が店を閉めて帰る頃には家族は寝ていて、会えないのがさみしい。だから、妻がLINEで娘の写真を送ってくれるのはうれしいですね。妻は店を手伝ってくれるので共通の話題も多いし、よく2人で話もします。寝室を分けてからも、週に一度は一緒に眠っていますよ」(雄平さん)

カギは「情緒的サポート」にあり

夫婦間のコミュニケーションをいかにとるか(撮影:森カズシゲ)

寝室が同室か別室かにかかわらず、忙しい共働き世帯の夫婦の会話は減りがちだ。つまり、「夫婦間のコミュニケーションが情報共有と課題解決を担う「ホウレンソウ」に偏り、情緒的サポートがおざなりになりやすい。結果として、セックスレスになる夫婦も少なくありません」と、パートナーシップ&ペアレンティングアドバイザーの林田香織さんは言う。

子育てと仕事の両立やお互いの関係に悩む夫婦を年間3000人以上サポートしている林田香織さん(撮影:中道薫)

情緒的サポートとは、夫婦のコミュニケーションの機能の一つ。夫婦の何気ない会話やスキンシップなど、共感や愛情を提供する機能をさす。夫婦のコミュニケーションには、情緒的サポートを含め3つの機能があるという。

(監修/林田香織さん)

「ただし、人同士のコミュニケーションは声のトーンや表情、しぐさなど言葉をともなわないものが、その9割を占めます。そのため、寝室が同室であれば、無意識のうちにコミュニケーションを取り続けられるわけです」

忙しくて満足に会話ができない日常の中でも、寝室を同室にすることで、情緒的サポートを強める環境を得られるのだ。

「別室の場合はそのチャンスは減りますが、かといって不和の原因になるとは限りません。寝室を分けても、日頃から情緒的サポートを意識して暮らせば、夫婦円満を保つことは可能ですよ」

雑談やSNSを効果的に

最もオススメなのは「雑談」だという。

「子どもの話、共通の趣味の話など、どんなことでも構いません。ちなみに、男女が一日に話す量は、女性は2万語、男性は7000語といわれます。女性は結論のない話でも吐き出すことが重要。男性は少し我慢して聞いてあげましょう。他にも、ボディータッチやキスをする、2人でお茶を飲む、一緒に家事をするといったことでも情緒的サポートは達成できます」

また、寝室が別でも円満の家庭は、SNSを上手に使っているケースが多いという。

「夫婦のホウレンソウはLINEやFacebookで済ませ、家ではそれをテーマにした会話をすれば、限られた時間の中でも情緒的サポートが強まります」

互いのスケジュールをカレンダーアプリで共有する夫婦もいる。「たとえば、スケジュールのタイトルを『次のデート、このお店どう?』と会話風にして共有し、説明欄にお店のURLを貼るというもの。家では『あのお店いいね』というところから話が始まりますよ」と林田さん。育児中なら、子どもの予防接種といったスケジュールも共有できる。

「大切なのは、夫婦の“共感”を高めること。戸高家のように子どもの写真をLINEで送るのも良いアイデアです」と林田さんはうなずく(撮影:中道薫)

「お互いの情緒的サポートが強まると、夫婦仲が良くなるだけでなく、課題解決機能も効果的に働き始めます。夫婦2人で、どんな課題も乗り越えられる傾向にあるのです。さらに、ある調査では、夫婦間の情緒的サポートが強いほうが、妻の家事・育児に対する負担感が低いこともわかっています」

情緒的サポートを意識して夫婦の絆を強めるメリットは大きい。

眠りの準備も心がける

同室派か別室派かにかかわらず実践できる、安眠のテクニックもある。

「出かける前に身支度をするように、眠る前にも“おやすみ支度”を。翌朝に実感できるほど睡眠の質が変わります。実は、帰宅してから就寝まで、仕事や日常のことから心理的に距離をとり、交感神経から副交感神経に切り替わり、体や心が眠りに入っていくためには最低90分は必要といわれています。その間にしっかりと“おやすみ支度”を行いましょう。体や心だけでなく、環境を整えることも大切な支度の一つです」(睡眠コンサルタント・友野さん)

(監修/友野なおさん)

共働き世帯は就寝前もバタバタしがち。だが、「睡眠スタイルを改善したら、同量の仕事をこなしながら残業がなくなった例もある」と友野さんは話す。睡眠は脳のパフォーマンスに直結する。ビジネススキルの一つとしても、末長く夫婦円満で健康に暮らすためにも、熟睡できる家族の睡眠スタイルについて、今夜から探ってみてはどうだろうか。

取材・文:矢口あやは
編集・制作:ノオト
[写真]
撮影:森カズシゲ 栃久保誠 小野奈那子 中道薫
イメージ:アフロ
[図版]
藤田倫央


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