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森カズシゲ

【PR】余った作り置き、捨てる罪悪感――家庭の食品ロスをなくすには

2017/10/17(火) 11:01 配信

オリジナル

世界では毎年、13億トンの食べ物が捨てられている。魚の骨やリンゴの芯といった生ゴミの話ではない。人が食べるために作られ、まだ食べられるにもかかわらず捨てられる「食品ロス」などの総量だ。食品ロスを生み出し続けることは、環境だけでなく家計においても負担となる。世界的な課題であり、身近な問題でもある食品ロスの実情を探った。

捨てたくない、でも食べきれない

都内に暮らす小林芳実さん(35)は、出勤前に冷蔵庫をのぞいてため息をついた。週末に作り置きした総菜の保存容器が目に入る。食べていきたいが、もう時間がない。夫も慌ただしく家を出ていった後だ。

平日の自炊の負担を軽減しようと、週末にお総菜を作り置きするものの……(撮影:森カズシゲ)

芳実さんは夫の淳さん(35)との2人暮らし。夫婦ともに正社員として働き、帰宅時間は定まらない。だから、週末にまとめて買い出しに行き、いくつか総菜を作り置くのがルーティンとなっている。平日の帰宅時間がバラバラな小林夫妻は、その総菜をそれぞれのタイミングで食べる。

仕事の状況によっては家で夕食をとれない日もあるが、総菜の劣化は待ってくれない。作り置きは3日を過ぎると味が落ち、鮮度も怪しくなって箸をつけにくくなる。特に夏場は足が早い。胸を痛めながら、手間ひまをかけた作り置きの総菜を捨てることが続いた芳実さんは、悩んだ末に決断した。

家庭での毎日の食生活や自炊の状況について話す小林夫妻(撮影:林和也)

「夏の間は、その日の分だけお総菜を買ってきて食べることにしない?」――そう切り出した妻の言葉に、淳さんは深く頷いたという。それ以来、小林家では夏の間だけ自炊を完全にストップする。エンゲル係数は多少跳ね上がるが、背に腹は代えられない。

自炊をすれば食べきれなかった作り置き総菜を捨てる罪悪感に苛まれ、できあいの品に頼れば家計に影響する。小林夫妻の悩みは、多くの共働き家庭に通じるものだろう。

このように、売れ残りや消費期限を過ぎた食品、食べ残しなど、本来食べられたはずの食べ物を「食品ロス」と呼ぶ。

毎日、おにぎり1個を捨てている日本人

私たちの口に入る食品の多くは、農場や漁場から食品加工の工場に送られ、さらにマーケットを通じてレストランや家庭で消費される。しかし、その過程で多くの食品が捨てられている。

「メーカーやマーケットだけの問題ではありません。家庭やレストランで食べ物を残す、スーパーで賞味期限の長い食品を選ぶ、形の悪い野菜は買わない……といった消費者の行動から生まれる食品ロスも少なくないのです」

こう話すのは、食品ロス問題専門家・消費生活アドバイザーの井出留美さんだ。

「食糧不足を回避すべく昆虫食の検討まで始まった今、食品ロスを防ぐことは世界的な急務」と井出さんは語る(撮影:殿村誠士)

2011年に発表された国際連合食糧農業機関(FAO)の報告書によれば、世界では毎年、13億トンの食品ロス・廃棄が発生している。これは世界で生産される食糧のうち約3分の1を占め、飢餓人口10億人を養える量ともいわれる。

一方で、現時点の世界人口は約76億人。2050年には98億人に到達する見込みだ。井出さんは「深刻な食糧危機が迫るなか、各国が食品ロスに注目し、その削減に力を入れ始めた」と語る。フランスでは、大型スーパーで売れ残った食品の廃棄を法的に禁止。国連も、2030年までに世界の食品ロス半減を目標に掲げている。

では、日本はどうか。実は、FAOが2013年に発表した調査レポートでは、「食品ロス・廃棄が多い国」として中国、韓国、そして日本が挙げられている。農林水産省と環境省が発表した「食品ロス・食品廃棄物等の利用状況等(平成26年度推計)」によれば、日本では年間2775万トンの食品廃棄物が出ているという。このうち食品ロスが占めるのは、約4分の1の621万トン。国連の食糧援助量が年間約320万トン(2015年)だから、その2倍近くを捨てている計算になるのだ。

「この量は国民1人1日当たりに換算すると、お茶碗約1杯分(約134g)。つまり、日本人は毎日おにぎり1個分の食品を捨てていることになります。ごみ対策に力を入れている京都市の試算によれば、市内の食品ロスは1世帯4人で年間6万円分に相当するそうです。このごみ処理費用を年間5000円とすると、年間総額で6万5000円分にも相当する。全国換算すると、実に11.1兆円を失っていることになるのです」(井出さん)

食品ロスの半分は「家庭」から出ている

家庭から出ている食品ロスの量は、スーパーやレストランといった事業系の食品ロスの量に匹敵する(環境省「食品ロス・食品廃棄物等の利用状況等<平成26年度推計>」から作成)

環境省によれば、国内の食品ロスの内訳は、家庭から出たものが45%を占めている。各家庭が少しずつロスを減らすだけで大きな効果が得られそうだが、忙しい日々を送る共働き世帯にとって、とても食品ロスにまで気を回していられないというのが本音かもしれない。

「それでも、教育費や老後資金のために貯蓄をしたい世帯にとって、食品ロスの削減は大きなメリットになります。今の時代、収入を増やすのは大変ですが、ムダ買いを防ぎ、ムダな廃棄を減らせば、限られた収入の中でも確実に黒字を出せるのです」(井出さん)

「食品ロスを減らすことは、結果的に家計の防衛につながる」と井出さんは話す(イメージ:アフロ)

さらに、井出さんはこんな可能性も指摘する。

「市販の食品の価格には、廃棄にかかる費用があらかじめ含まれています。食品ロスの認知が広まり、お店やメーカーの負担する廃棄が減れば、良心的な売り手は価格を見直すでしょう。廃棄にかかっていた税金も、ムダなごみの処理ではなく、待機児童対策や学校教育、高齢者福祉などに回せるはずです」

消費期限と賞味期限、日本の現状は

では、どのように家庭の食材を運用すればいいのだろうか。

「きちんと理解しておきたいのは、『賞味期限(おいしく食べられる期限)』と『消費期限(安全に食べられる期限)』のカラクリ」と井出さんは強調する。消費者庁による加工食品のガイドラインでは、食の安全を重視し、そのいずれについても0.8以上の「安全係数」を推奨しているのだ。

「つまり、実際には10カ月間は食べられる食品でも、その期限は8カ月と記載されているということ。なかには、安全係数を0.8どころか0.5や0.7とする企業もあります。さすがにこれは、世界的に見ても短めの設定です」(井出さん)

使わなかった食品を廃棄した2大理由は「食品の劣化」と「消費期限・賞味期限切れ」だった(農林水産省「平成21年度食品ロス統計調査報告」から作成)

農林水産省の調査を見ると、食品を使用せずに廃棄した理由の大部分を占めるのは「消費期限・賞味期限切れ」だということがわかる。

「記載された期限をうのみにせず、捨てる前に食品が本当にだめになっているかを五感でチェックする習慣をつけておきたいですね」(井出さん)

食品ロスに最も効果的な対策は“リデュース”

自分にとって必要な量を冷静に見極め、買いすぎないことが食品ロス削減のカギとなる(イメージ:アフロ)

ごみの話題となると“リサイクル”や“リユース”が注目されがちだが、「食品ロス対策として最も効果的なのは“リデュース”(消費や生産の抑制)」だと井出さん。最近は、日本気象協会の気象情報や、特売情報などを活用した需要予測に基づいて製造量を調整した企業が、次々と食品ロスの削減に成功する事例が増えているという。

「これは家庭においても同じ。最も効果的なのは元を絞ること。すなわち買いすぎないことなのです」(井出さん)

(監修/井出留美さん)

平日の夜の自炊が楽になる保存術

週末にまとめて食材を調理し、冷凍しておくと平日の自炊が楽になる(イメージ:アフロ)

食品ロスを解決するには、いかに長く食材を保存できるかもカギとなる。

「ちょっとしたコツを身につければ、冷凍は最高の時短術です。平日の夜の炊事がぐんと楽になるので、忙しい共働き世帯にこそオススメですよ」と、管理栄養士・フードコーディネーターの若子みな美さんは話す。

「まず、味を落とさずに保存するには急速冷凍が基本。冷気が伝わりやすいアルミトレイの上に食材を載せ、内部まですばやく冷やしましょう。冷凍した肉は約2週間、野菜は約1カ月が保存の目安です」(若子さん)

1回分ずつラップで小分けにしてから冷凍すると、必要な分だけ取り出しやすい。ラップで包むときは、酸化を防ぐために空気を抜いて密封する。また、余分な水気をしっかり拭き取ると食材が傷むのを防げるという。

「野菜類は解凍の手間がなく、そのまま調理に使える点が非常に便利。食材を冷凍しておくと、臨機応変に使い回せるのもメリットです。また、肉も野菜も冷凍前に一手間かけると調理が格段に楽になるので、次の方法を試してみてください」(若子さん)

(監修/若子みな美さん)

下ごしらえ済みの肉類や野菜類を冷凍しておけば、時短調理の強い味方になる(撮影:森カズシゲ)

ちなみに、解凍時のコツはあるのだろうか。

「おいしさを重視するなら、冷蔵庫で解凍するのが一番ですね。電子レンジを使うなら、加熱しすぎるより、少し足りないくらいにとどめるのが味の劣化を防ぐポイントです」(若子さん)

冷蔵庫は循環が命――“7日間サイクル”で考える

忙しい共働き世帯が無理なく自炊生活を続けていく方法として、2人の専門家が口をそろえたのは「買いすぎないこと」と「7日間のサイクルを作ること」だ。

冷蔵庫内を整理整頓し、7日間を目安に食材を使いきっていく(撮影:森カズシゲ)

「冷蔵庫の中身は、絶えず循環させることを意識しましょう。1週間単位で区切って、土日に買い出しをし、月曜から金曜にかけて冷蔵庫にある食材を使い切る。だんだんカラになっていくのは気持ちいいですよ」(井出さん)

「本来は、献立を決めてから買うのがベスト。でも、7日分となると難しいので、まとめ買いをする際は、アレンジがきく食材やポピュラーな食材をメインに買いましょう。料理本やインスタグラムを見ると、すてきだからつい真似したくなりますが、自分の家にある食材で置き換えながら作るのが無理なく続けるコツです」(若子さん)

一方で、調理や献立決めといった作業は、個人の好き嫌いやスキルに左右されやすい側面もある。パナソニックが今年4月に30~40代の既婚男女約2700人を対象に行った調査では「かける時間が足りない」という家事の2位に「平日の夕食」が挙げられており、調理などへの負担感が小さくないことがうかがえる。こうした家事が苦手な人や、忙しい共働き世帯には、家電のサポートを受けるという選択肢も。パナソニックでは“7日間サイクル”の考え方を冷蔵庫やオーブンレンジそのものに導入。「おいしい7days」をキャッチフレーズに、週に一度まとめ買いするスタイルに合わせた機能を家電に搭載したほか、それらを活用したレシピの提案なども行っている。

ここ数年では特に鮮度を保つ機能に注力しているという、同シリーズのパーシャル搭載冷蔵庫。2015年までは肉・魚の鮮度を長持ちさせる「微凍結パーシャル機能」が目玉だったが、翌年には作り置きの常備菜まで長持ちさせる機能を追加。通常は約3日程度とされる日持ちの期間を約1週間(※)にまで延ばした。今年9月には傷みやすいひき肉も、生のまま下ごしらえした状態でも、約1週間(※)の保存が可能になる機能が加わったほか、野菜や果物も、適切な湿度を保つ機能によって鮮度を長持ちさせることができるという。

冷凍の一歩手前、約マイナス3度の「微凍結」状態で保存する「7daysパーシャル」。作り置きのカレーもその日に食べたい分だけをすくって解凍でき、食べ残しも防げる (パナソニック提供)

また、同社のスチームオーブンレンジ「Bistro」は、冷凍状態のままグリル機能で一気に加熱調理でき、解凍の手間を省くことができる。忙しい日々の中で解凍のタイミングを失い、風味が落ちてしまう「冷凍焼け」を理由に捨てざるをえなかった食品も、これらの機能を使うことでムダをなくすことが可能になるといい、同社は「忙しくても無理なく7日間の食事を大事にしたい、というニーズにも応えたい」としている。

ジッパー付き冷凍保存袋に入れ、たれと混ぜて下ごしらえした状態で冷凍した鶏もも肉(左)。冷凍状態のまま焼き上げる同レンジの機能を使うことで、「鶏の照り焼き」といった料理も解凍の手間なく時短で作ることができるという(右) (パナソニック提供)

いま、世界中の人が取り組んでいる食品ロス対策。私たちも、時短術や家電を上手に活用しながら、地球と家計にやさしい暮らしを始めたい。

※パナソニック調べ。運転状況や食品の種類、状態や量、保存する前の食品の状況によって効果が異なります。

取材・文:矢口あやは
編集・制作:ノオト
[写真]
撮影:殿村誠士 林和也 森カズシゲ
イメージ:アフロ
[図版]
藤田倫央


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