2010年に北朝鮮の砲撃を受けた韓国の「延坪島(ヨンピョンド)」は、韓国北西部に浮かび、北朝鮮との境界線まで最短で1.5キロメートルしかない。南北対立の最前線として、あるいは北朝鮮の「脅威」を実感する場所として、島は知られてきた。しかし、島の日常には緊張と同時に、平穏な暮らしもある。『海の向こうは北朝鮮――砲撃された韓国・延坪島の“日常と平和”』では伝えきれなかった島の様子を「写真ルポ」で紹介する。(文・写真:笹島康仁/Yahoo!ニュース 特集編集部)
北朝鮮の見える島
砲撃と警戒
2010年11月23日、延坪島は北朝鮮から砲撃を受けた。砲弾約170発のうち半分ほどが島に着弾し、民間人2人を含む4人が殺された。民間人の死者が出たのは、1953年の朝鮮戦争の休戦以来初めてだった。
住民用シェルター、島に8カ所
今年4月以降の南北首脳会談などを経て、両国の関係は改善しつつある。2010年の砲撃後に造られた8カ所の避難所(シェルター)も、今では地域の集まりで使われるだけになってきたという。
北朝鮮に故郷を持つ「失郷民」たち
延坪島では、住民のほとんどが北側から避難してきた人やその子孫である。だから、故郷に近く、実際に目で見ることができるこの島を離れられないという。彼らは「失郷民(シリャンミン)」と呼ばれている。
学校の子どもたち
島の人口は約2千人。普段はのどかで、人々はのんびり暮らしている。島唯一の学校には、園児から高校生まで164人が通っている。
港で、街角で、海岸で
仁川港と延坪島を結ぶ船は1日1往復のみだ。島民や観光客だけでなく、兵士たちに会いに来る恋人や家族も毎日のように乗っている。船着場には、再会を喜び合う人も、別れを惜しみ合う人もいた。
島の人口は約2000人で、島民には漁業関係の人が多い。街を歩くと、のんびりした風景が広がっている。
この記事と同時に、現地の取材記事と動画『海の向こうは北朝鮮――砲撃された韓国・延坪島の“日常と平和”』も公開しています。
[写真]撮影:笹島康仁
[取材協力]李洪千:東京都市大学メディア情報学部准教授