日本一はどこか、ドラフト候補の活躍は――第46回社会人野球日本選手権大会の組み合わせが決まる
新型コロナウイルスの影響で昨年は中止され、2年ぶりの開催となる第46回社会人野球日本選手権大会の組み合わせ抽選会が、6月15日に大阪市内で行なわれた。3月の東京スポニチ大会を皮切りに全国で実施された11のJABA大会、第45回全日本クラブ野球選手権大会の優勝チームに、前回王者の大阪ガスを加えた13チーム、各地区予選を勝ち抜いた19チームの計32チームが出場して王座を争うが、ドラフト候補と目される選手にとっては、最も重要な大会と言っていい。
例年ならば、7月に都市対抗野球大会が行なわれ、この日本選手権はドラフト会議のあと。指名を受けた選手たちが、社会人を集大成するプレーを見せてくれるのだが、今年は東京五輪の関係で開催順が逆に。つまり、都市対抗がドラフト会議のあとになるため、プロ球団のスカウトは日本選手権と9月から行なわれる都市対抗二次予選を視察して指名の可否を判断することになる。
「社会人は、特に即戦力として期待されるケースが多い。だからこそ、公式戦でどこまで力を発揮できるか、どんな仕事ができるのかを見極めることが重要でしょう。それまでの実績や練習試合では見えなかったものが見えてきますから」
あるベテランのスカウトがそう語るように、今季にドラフト指名解禁を迎える選手は、昨年もコロナ禍で公式戦が限られただけに、日本選手権でのパフォーマンスが大きなカギを握っている。そんな大卒2年目、高卒3年目で大会に登場する選手をピックアップする。
昨年の都市対抗で、優秀な新人に授与される若獅子賞を手にした廣畑敦也(三菱自動車倉敷オーシャンズ)は、今季も東京スポニチ大会で初優勝の原動力となり、最高殊勲選手賞に輝くと、岡山大会では準優勝して敢闘賞と、実績の面ではトップを走る。先発では豊富なスタミナ、リリーフではスピンの利いた速球が高く評されており、日本新薬との一回戦でどんなピッチングを見せてくれるか楽しみだ。
サスウポーでは、森 翔平(三菱重工West)の注目度が高い。優勝した京都大会では、リーグ戦こそ東芝を7回無失点に抑えたが、準決勝でセガサミーに打ち込まれ、5回までに10安打5失点と不本意な結果。それでも、多くのスカウトが変わらぬ評価を口にしており、全国の舞台でも期待の視線が集まる。
成長途上の選手がひと皮剥けるのが全国の舞台
投手では、個性的な始動から力強いボールを投げ込む鈴木大貴(TDK)が、一回戦で対戦するトヨタ自動車を相手にどんな投球を披露するか。横山 楓(セガサミー)は、鋭く右腕を振り抜き、角度のあるストレートを投げ込む。今季は森井絃斗や草海光貴の状態がなかなか上がらないだけに、先発起用も十分にありそうだ。
その横山と国学大ではチームメイトだった吉村貢司郎(東芝)は、ポテンシャルの高さならピカイチ。しっかりと指にかかった時のボールは唸りを上げており、制球力を高めれば上位指名も考えられる。清水 蓮(ヤマハ)は、強気のマウンドさばきで東北大会準決勝では2安打完封勝利。試合を作る能力も高く、先発ローテーション入りを狙えると評価するスカウトもいる。
そして、浦本千広は日本製鉄東海REXを4大会ぶりの出場に導いた右腕だ。昨年は故障にも泣かされたが、今季は日立市長杯大会で九州三菱自動車を4安打でシャットアウト。ストレートは最速152キロをマークし、一気に存在感を示してきた。
また、内野手では強打の中川智裕(セガサミー)、丸亀城西高からJR四国へ入社すると、1年目からセンスあふれるプレーを見せている水野達稀と、2名の遊撃手の名前が挙がる。外野手では、舩曳 海(日本新薬)がシュアな打撃とアグレッシブな走塁をどこまで進化させているか。もちろん、ドラフト解禁組以外にも有力な選手が出場するだけに、見逃せない試合が続く。
「トーナメントを勝ち上がる中で、思わぬ選手がひと皮剥け、頭角を現してくるのも全国大会の重要なポイント」
そんなスカウトの言葉を、球場で実体験してみるのもいいだろう。一回戦は、6月29日からほっともっとフィールド神戸で行なわれる。
(写真提供/小学館グランドスラム)