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あなたの周りにもいるかも?「反社会性パーソナリティ障害(ソシオパス)の治し方、対応」について…。

竹内成彦心理カウンセラー(公認心理師)

こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。

今日のテーマは、「反社会性パーソナリティ障害(ソシオパス)の治し方」です。
全開の記事の続きです。

と、その前に、反社会性パーソナリティ障害の原因ですが、反社会性パーソナリティ障害は、遺伝的要因と環境的要因によって引き起こされる…と考えられています。

まずは、遺伝的要因です。
発症に至る約50%の要因が遺伝的要因とされています。家族に反社会性パーソナリティ障害の人がいると発症しやすいです。この分野については現在も研究が進んでいる最中です。

続いて、環境的要因です。
心理的、社会的な環境要因で、反社会性パーソナリティ障害になるケースもあります。幼児期の虐待やネグレクトによって、道徳心や倫理観が育たない環境だと、他者の痛みを理解することができません。その結果、青年期後期に反社会的行動を取ると言われています。

次に、反社会性パーソナリティ障害の診断です。
医療機関によって診断基準は異なりますが、主に世界保健機関の『国際疾病分類』やアメリカ精神医学会の『精神疾患の診断・統計マニュアル』に基づき診断をします。この診断方法については、細かく難解なので、この記事では割愛させていただきます。

お待たせいたしました。
では、反社会性パーソナリティ障害の治し方ですが、反社会性パーソナリティ障害は、治療が困難で、特定の治療法によって長期的に改善するというものは、残念ながら、現在はありません。
このため、治療は、社会に適応していくために、患者の認知や思考、行動パターンの偏りを改善する…ということが目標となることが多いです。

具体的な治療方法としては、カウンセリングをメインとして、具体的な症状(衝動性、攻撃性)の緩和に、薬物療法やTMS治療を行います。

では、治療のメインである、カウンセリング=心理療法について、ご説明いたします。心理療法としては様々な方法が挙げられますが、集団精神療法と家族療法について解説します。

集団精神療法は、同じ障害を持つ人が複数人集まり、グループで話をしたり共同作業を行うことで社会に適応できない原因を見つけて解決する方法です。

自分がどんな問題を抱えているのかを、同じ障害を持つ他者から発見したり、他者に対して「こうして欲しい」と思ったことが、そのまま自分の行動改善に繋がったりします。また、他人との適切なコミュニケーションを学ぶことにも繋がり、自己肯定感の向上にも寄与します。

次に、家族療法は、患者本人とともに、家族ぐるみで適切な対処法を工夫することで症状や問題行動の解決を図るというものです。

家族を問題の原因とするのではなく、家族で問題にどう向き合っていくのか? という方法です。治療開始時には、本人ではなく、家族だけと相談を進めるケースもあります。家族療法は、患者が未成年の場合に行われることが多く、成人している場合は患者自身が自立して、今言った集団精神療法などを行うことが多いです。

続いて、薬物療法です。
不安や緊張、抑うつなどの症状を緩和する目的で薬物を使用することもあります。反社会性パーソナリティ障害の治療として、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)を使用して、衝動性や攻撃性を抑えたりします。その他に、抗精神病薬や気分安定薬なども併用することがあります。

注意点としては、薬物による治療は対症療法に過ぎず、根幹の治療ではありません。よって、お薬は、カウンセリング=心理療法をメインとした根幹の治療を行うためのサポートとして考えるのが良いでしょう。

続いて、TMS治療です。
最新の治療法であるTMS治療(磁気刺激治療)も、パーソナリティ障害に有効だとされています。

最後に、周囲のサポートをご紹介いたします。
反社会性パーソナリティ障害は簡単に治るものではありません。遺伝的要因、幼少期からの環境的要因から発症していることが多いからです。周囲の人は、そういった背景を理解した上で、次に述べるようなサポートをしてあげるようにしましょう。

心得、その1。否定しすぎない
まず、患者の行いを否定しすぎないようにしましょう。これまでの環境で、多くの否定をされ、自己肯定感が低くなっていることが大きな原因となっていることが多いです。そのため、行動に至った過程をひもとき、どこまでが良くて、何が良くなかったのかを伝え、良かった点もしっかりと褒め伝えてあげるようにしましょう。

心得、その2。攻撃的な態度に対しては、冷静に対応する。
反社会性パーソナリティ障害の人は、挑発してきたり、敵意を剥き出しにして接してくることがあります。こうした態度をとってきた際、感情的になって接するのではなく、何があったのかを冷静に聞いてあげるようにしましょう。

心得、その3。認めてあげる
これまで説明してきたとおり、自己肯定感の低さが、反社会性パーソナリティ障害の原因となっていることが多いです。誰かに認められることでその人を信頼し、行動が変わっていくことがあります。すぐに行動が変わっていくことはないですが、徐々に自分の言動や行動に気をつけるようになり、長期的にはいい方向へと生き方を変えていくことでしょう。

まとめ

反社会性パーソナリティ障害は、自分だけではなく、他者を傷つけてしまうことの多い障害です。まだ根本的な治療法は見つかっていませんが、少しずつでも症状を改善し、社会に適応して自分らしく生きることができるようにするためにも、専門家の支援を受けながら向き合っていくことが重要です。

ただ、私の本音を言うと、反社会性パーソナリティ障害は、とにかく手強いです。あなたが家族や親しい友人であれば別ですが、単なる知り合いであるのなら、早急に彼ら、反社会性パーソナリティ障害の人から距離を置くことを、私はおススメしたいと思います。

というわけで、今日は、「反社会性パーソナリティ障害(ソシオパス)の治し方」というテーマでお話しさせて頂きました。

今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。

      この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です

心理カウンセラー(公認心理師)

1960年、愛知県名古屋市で生まれ育つ。1997年06月、地元愛知でプロのカウンセラーとして独立開業を果たす。カウンセリングルーム「心の相談室with」名古屋 の室長。臨床歴25年、臨床数15,000件を超える。講演・研修回数は800回、聴講者は10万人を超える。【上手に「自分の気持ち」を出す方法】など、電子書籍を含め、20数冊の本を出版している。カウンセリング講座などを開催し、カウンセラーを育てることにも精力を尽くしている。

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