15日~16日は北陸や北日本で大雪予想 積雪による家屋への影響に注意して
日本付近は16日(火)頃にかけて、冬型の気圧配置が強まるでしょう。北陸から北の日本海側では雪が強く降り、大雪となる見通しです。また、風も非常に強く、ふぶきとなるため、屋外の作業は十分、注意してください。
能登半島地震で揺れが大きかった地域では雪の重みによる家屋への影響にも注意が必要です。
雪は想像以上に重い
世界で初めて人工雪を作ったことで知られる、物理学者の中谷宇吉郎(1900-1962)は「雪は天から送られた手紙である」という有名な言葉を残しました。中谷宇吉郎は石川県加賀市生まれです。
雪は気温や湿度などの気象条件により様々に形を変えます。気温の低い北海道はサラサラの乾いた雪が、気温の高い北陸地方は湿った重い雪が特徴のように、地域によっても雪の表情は大きく違います。
大雪の被害は多岐にわたりますが、今から10年前の2014年2月、首都圏を襲った記録的な大雪では屋根などに積もった雪の重さにより、建物が押しつぶされる被害が相次ぎました。
降雪時の気温が高いと、水分を多く含んだ雪が積もります。例えば、積雪1センチを降水量1ミリに置き換えると、6メートル四方の大きさの屋根に50センチの雪が積もった場合、家屋にかかる雪の重さは1.8トンになります。
湿った雪は重いイメージがあるとは言え、実際は想像以上です。とくに、積もった雪に、雨が降るとなおさら重くなります。
猛暑余波?高い海面水温
先月(12月)の大雪では輪島で日降雪量が48センチに達し、12月としては観測史上最大となりました。顕著な大雪に関する気象情報に加えて、大雪に一層の警戒を呼び掛ける情報も出されました。
大雪となった要因のひとつに、日本海の海面水温があります。もともと、昨年の記録的な猛暑で海面水温が記録的に高くなっていたところに、強い寒気が流れ込んだことで、雪雲がより発達したようです。
日本海の海面水温を先月(12月)と今月(1月)で比べてみましょう。能登半島沖に注目すると先月は約16度でしたが、今月は約14度と2度くらい下がりました。それでも、平年と比べると1度以上高い状態が続いています。
温暖化で重い雪が増える?
建築基準法では積雪荷重を定めていて、その元となる積雪量は50年に一度の積雪深を元に、地域の実情にあわせて決めています。例えば、気象庁では50年に一度の積雪深を札幌で152センチ、青森で215センチ、東京で26センチ、石川県輪島は84センチとしています。
50年に一度というと、稀にしか起こらないような大雪と思いがちですが、温暖化の進行で、ひと冬に降る雪は減っても、局地的なドカ雪は起こり得る。また、降雪時の気温が高くなると、湿った重い雪が降りやすくなると考えています。
【参考資料】
中谷宇吉郎 雪の科学館ホームページ
津田紗矢佳,2021:Yahoo!ニュース「雪は天からの手紙」――結晶の姿から何がわかる? 雪害に備えるために知っておきたいこと
国土交通省:建築基準法における積雪に関する基準について
気象庁:暴風雪と高波及び大雪に関する全般気象情報 第4号、2024年01月14日17時01分
気象庁:「50年に一度の積雪深」の地点別一覧