県外では滅多に入手できない「藤戸饅頭」たっぷりのこし餡を極薄の自家製甘酒の皮で包んだ歴史ある酒饅頭
日本三大饅頭、といわれているお饅頭をご存知でしょうか?皆さんの中のベスト3はそれぞれあるかと思いますが、東京都・塩瀬総本家さんの志ほせ饅頭、福島県・柏屋さんの柏屋薄皮饅頭、岡山県・大手饅頭伊部屋さん・大手まんぢゅうと一般的にいわれております。
いずれもひとくち、もしくはふたくち程度でいただけるような小柄なお饅頭ということもあり、お土産などにも重宝されていますね。
しかし!!私にはもうひとつ推したいお饅頭があるのです。
岡山県倉敷市に本店を構える創業1184年の老舗「藤戸饅頭」さん。古より伝承されてきた酒饅頭を作り続けているお店なのですが、こちらもまた逸話のある銘菓のひとつなのです。今回は藤戸饅頭さんの「藤戸まんぢゅう」をご紹介。
かつて全国各地で勃発した源平合戦。藤戸の戦いとよばれたこの地での戦いでは、作戦上罪のない村人が犠牲になるなど壮絶な出来事だったとか。その犠牲者への弔いの意味を込めてお供えされたのがはじまりといわれています。
自家製の麹から作られる甘酒を用いた酒饅頭でして、餡子が透けてしまうほど非常にうっすらとした皮で包まれているのが特徴。しかし、ツンとそっと鼻腔を刺激するお酒特有の酸味の輪郭は明瞭。また、自宅で開封すると表面がやや硬くなっているのも混じりけ無しの証拠。
そのままでもきゅっと引き締まりねっとりとしたこし餡を楽しむことができますが、個人的にはラップに包んで様子を見ながら200w程度で10秒程温めていただくことを推奨します。
じんわり温かくなったお饅頭はより一層芳醇な酒饅頭特有の香りを放ち、思わず何度も深呼吸したくなるほど。もっちりとした薄皮、そしてふわりと柔らかさと空気感を孕んだ温かなこし餡は常温のものよりも勢いよく口の中を満たしていき、得も言われぬ甘露でいっぱいに。きめが整っており、尚且つ小豆の風味と優雅な甘さ双方を味わえるこし餡は、長年向き合ってきたというのがひしひしと伝わります。
お饅頭が伝来したのは11世紀~12世紀といわれているので、若干早いような気がしなくもないのですが、その曖昧さも浪漫のひとつ。岡山県ということもあり、瀬戸内海を中心に活躍した水軍たちがあちこちの港から一足早く情報を取り入れて伝えたのでは、という仮説も考えられますしね。
いずれも岡山県のお饅頭ということ、そしてその見た目から「あなたは大手饅頭派?それとも藤戸饅頭派?」といわれるほどファンや地元の方々から愛されるお饅頭。
食べ比べ、といいつつ、ひとつずつでは止まりそうにありませんね。
尚、岡山県以外ですと東京都新橋のアンテナショップ「とっとり・おかやま新橋館」にて購入可能とのことです。
最後までご覧いただきありがとうございました。
<藤戸饅頭・本店>
公式サイト(外部リンク)
岡山県岡山市藤戸町藤戸48
086-428-1034
8時~17時
定休日 火曜・第二水曜