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JALのスマホ決済「JAL Pay」がリニューアル ANA Payとどう違う?

山口健太ITジャーナリスト
JAL Payがリニューアル(Apple Payの画面より、筆者撮影)

11月7日、JAL(日本航空)はスマホ決済「JAL Pay」について、アプリのリニューアル機能拡充を発表しました。

マイレージ会員向けに、日常の決済でもマイルがたまる・使える機能というコンセプトはANA Payに似ています。どこが違うのか、実際に使ってみました。

アプリやサービス名称を刷新

コロナ禍では飛行機に乗る機会が大きく減ったこともあり、航空会社は日常生活でもマイレージプログラムを活用できる事業を強化しています。

JALは2023年3月にスマホ決済の「JAL Pay」を開始しています。これは2018年に始まったプリペイドカードの「JAL Global WALLET」がQRコード決済に対応するというものでした。

今回のリニューアルでは、これまでの「JAL Global WALLET」アプリが「JALマイレージバンク」アプリに置き換わり、ポイントやサービス名称は「JAL Pay」に変更されています。

この新アプリには、JALのマイレージ会員向けの機能とペイメントの機能が統合されています。

マイレージ会員向け機能と統合された(JALマイレージバンクのアプリ画面より、筆者作成)
マイレージ会員向け機能と統合された(JALマイレージバンクのアプリ画面より、筆者作成)

アプリはiOSとAndroidの両方ですでに更新されています。さらにiPhoneやApple Watchでは新たに「Apple Pay」に対応し、Mastercardによるタッチ決済やQUICPay+での支払いが可能になっています。

iPhoneに設定して使ってみたところ、Apple Payによるアプリ内決済にも利用できました。

アプリ内決済にも利用できる(Apple Payの画面より、筆者作成)
アプリ内決済にも利用できる(Apple Payの画面より、筆者作成)

なお、Android端末におけるGoogle Payへの対応については、「準備が整い次第速やかにご案内する」(日本航空 広報部)としています。

これまでのJAL Global WALLETのサービス名称はJAL Payに移行したものの、物理的なプリペイドカードの「JAL Global WALLETカード」の名称は変わらず、引き続き使えます。

JAL Payの新規ユーザーは、本人確認を済ませると無料でこのカードが送られてくる仕組みです。Smart CodeによるQRコード決済とあわせて、幅広いお店で使えそうです。

JAL Global WALLETカードも引き続き使える。カード番号や有効期限などはバーチャルカードと同じ(筆者撮影)
JAL Global WALLETカードも引き続き使える。カード番号や有効期限などはバーチャルカードと同じ(筆者撮影)

なお、JAL Global WALLETの会員向けWebサイトは、新アプリの利用開始後は使えなくなり、ログインもできなくなる仕様です。この機能はアプリに一本化された形といえます。

実際に支払いに使うには残高のチャージが必要です。現金では、住信SBIネット銀行との協業による「JAL NEOBANK」か、住信SBIネット銀行の一般的な口座との連携が最初の選択肢となっています。

また、オンラインバンキングとしては主要な都市銀行に対応。それ以外の地方銀行やネット銀行などは指定口座への振り込みによる最短翌営業日の反映となっており、やや不便に感じます。

新アプリの開発全般において住信SBIネット銀行の協力を得ているとのことから、こうした仕様になっているのも分かりますが、できれば多くの金融機関と連携してほしいところです。

ANA Payとの比較では、支払い時のマイル還元率は税込200円につき1マイルと横並びです。しかしANA Payのほうが先行してリニューアルを果たしたこともあり、まだ追いついていないと感じるところはあります。

カードのデザインは、JAL PayにはJAL Global WALLETカードとの統一感はあるものの、ANA Payのほうがすっきりしている印象を受けます。

JAL Pay(左)とANA Pay(右)(Apple Payの画面より、筆者作成)
JAL Pay(左)とANA Pay(右)(Apple Payの画面より、筆者作成)

物理カードでは光の加減によって飛行機の機体の銀色と鶴丸のロゴがアクセントになっていたのに対し、それをスマホの画面上に再現しても平面的に見えてしまう、といったところでしょうか。

ウォレット画面での見え方(Apple Payの画面より、筆者作成)
ウォレット画面での見え方(Apple Payの画面より、筆者作成)

決済手段はANA Payの「Visa」と「iD」に対して、JAL Payは「Mastercard」と「QUICPay+」に対応。コード決済はANAもSmart Codeに対応。Google Pay対応ではANAが先行しています。

マイルからのチャージは、JAL Payは最低3000マイルを最低500マイルからに引き下げたものの、ANA Payは最低1マイルから1マイル単位で可能です。特典航空券に足りない端数を使う場面を考えると、ANA Payのほうが便利に感じます。

JAL Payにマイルからチャージするには最低500マイルからとなる(JALマイレージバンクのアプリ画面より、筆者作成)
JAL Payにマイルからチャージするには最低500マイルからとなる(JALマイレージバンクのアプリ画面より、筆者作成)

物理的なカードについては、ANAにもプリペイドのサービスは存在するものの、JAL Payではバーチャルカードと物理カードでカード番号や有効期限などが共通となっており、使い分けができるという違いがあります。

JAL会員に広く普及するか

これまでのJAL Global WALLETは外貨との両替機能が特徴となっており、「Global」という名前からも海外利用をアピールしていました。

これを「JALマイレージバンク」アプリと「JAL Pay」機能に整理統合することで、会員証やマイルの機能とペイメントの機能を一体として提供することが、リニューアルの狙いと考えられます。

飛行機に乗るだけなら「JAL」のアプリがあれば十分ですが、マイルやステータスの確認には「JALマイレージバンク」アプリを使うことになります。これはJALの会員に広くJAL Payを使ってほしいというメッセージになっている印象です。

今後のクレジットカードによるチャージやGoogle Pay対応といった機能追加にも期待したいところです。

■追記:クレジットカードチャージに対応

2024年4月2日より、クレジットカードによるチャージに対応しました。

https://press.jal.co.jp/ja/release/202404/008015.html

ITジャーナリスト

(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。

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