福岡の「せいもん払い」を仕掛け、博多に遊園地を作った男がいた 舞台化、ゴリけんさんら出演
毎年11月、福博の街に冬の訪れを告げる「せいもん払い」。この一大バーゲンセールを明治時代に仕掛けた博多商人、八尋利兵衛の物語が12月22日、博多座(福岡市博多区下川端町)で上演される。福岡市の「劇団ショーマンシップ」による創立30周年記念公演。苦労を重ねながら、街づくりに尽力したアイデアマンの知られざる生涯を涙と笑いと歌で届ける。 【写真】「せいもん払い」を仕掛けた八尋利兵衛 タイトルは、創作オペレッタ「やっぱり利兵衛~せいもん払いを始めた男 八尋利兵衛伝」。利兵衛は1849(嘉永2)年、筑紫郡の生まれ。14歳から博多の呉服商で修業し、30歳で下川端町に漬物店を開業した。 出張先の大阪で「誓文払い」と呼ばれる、年に一度の大安売りの盛況ぶりを目の当たりにして「博多でも」と思い立つ。自分の店の恩恵は少ないにもかかわらず、渋る呉服店に頭を下げて回り、1879(明治12)年の暮れに実現させた。 さらに1900(明治33)年、博多商人たちの協力で資金を集めた利兵衛は、現在のキャナルシティ博多敷地内に「向島住吉遊園地」をオープン。05(明治38)年には、中洲に木造8階建てのタワー「高砂館」を建設し、博多っ子を驚かせた。遊園地開園記念で建てた大灯籠は移設され、今も中洲の清流公園内に残る。 舞台は、歌と踊りを交えて利兵衛の奮闘ぶりを描く。主演はショーマンシップ座長の仲谷一志さん(59)。劇団は中央区唐人町商店街にある「甘棠館(かんとうかん)Show劇場」を運営し、自身は今年4月、唐人町商店街連合会理事長に就任した。商店街全体を舞台に見立て劇団員が演技しながら練り歩くなど、街を盛り上げる企画を相次いで打ち出すアイデアマンぶりは、利兵衛をほうふつとさせる。 劇団はコロナ禍では存続危機に陥ったが、「お客さんや商店街の人たち、友人たちに救われた」と仲谷さんは言う。「役柄を通じて利兵衛さんの精神を体にしみ込ませて、みんなに恩返しできる劇団にしたい」 出演は劇団員のほか、タレントの徳永玲子さん、ゴリけんさん、西田たかのりさん、HKT48の渕上舞さん、今村麻莉愛さんら。上川端商店街振興組合理事長の正木研次さんや、西日本オペラ協会「コンセル・ピエール」所属のソリスト4人も含め、総勢73人の大舞台となる。 (加茂川雅仁) □ □ 12月22日午後2時開演。前売りはA席6千円、B席4500円、25歳以下は3500円。電話予約はカンフェティ=050(3092)0051。https://www.confetti-web.com/events/3563でも受け付ける。