中国・人民銀が企業向け金利を引き下げ 3カ月ぶり 住宅ローン基準も 景気対策の一環
【北京＝三塚聖平】中国人民銀行（中央銀行）は21日、企業への貸出金利の指標となる「ローンプライムレート（貸出基礎金利、LPR）」の1年物を0・25％引き下げ、3・10％にした。住宅ローン金利の基準となるLPRの5年物も0・25％引き下げて3・60％にした。引き下げはいずれも今年7月以来3カ月ぶりで景気対策の一環となる。 中国経済を巡っては、不動産市場の長期悪化が景気の足かせとなっている。中国共産党・政府は9月下旬以降、大規模な金融緩和のほか、不動産市場の支援策、財政出動を伴う経済対策の方針を打ち出すなど景気対策を重視する姿勢に転じた。 LPRは主要銀行が優良顧客に示す金利を基に、人民銀が毎月算出して公表している。人民銀は7月、昨年6月以来1年1カ月ぶりに1年物と5年物を同時に引き下げていた。 金利の引き下げは利ざや縮小により銀行の経営状況を圧迫する副作用もある。中国の藍仏安（らん・ふつあん）財政相は今月12日、中国の大手国有銀行に対し特別国債を活用して資本注入を行う方針を示した。中国政府が特別国債を発行して大手国有銀行に資本注入を行うのは、アジア通貨危機の際の1998年以来になるという。 中国国家統計局が18日発表した2024年7～9月期の実質国内総生産（GDP）は前年同期比4・6％増で、このままでは政府の通年目標「5％前後」の達成が厳しい状況になっている。
