東北の若いマタギが禁じられた熊狩りに挑む。山を歩く時間が大半を占める挑戦映画『プロミスト・ランド』【杉田雷麟×寛一郎インタビュー】
杉田:寛一郎さんは、僕にとってはもうお兄ちゃんみたいな存在ですね。 ――信行と礼二郎の関係と同じように。 杉田:役よりも、仲いいです……よね? 寛一郎:ほんとに? 口だけじゃないの? 杉田:(笑)いやいやいや。仲いいですよ! ――(笑)。撮影中も、寛一郎さんに引っ張ってもらう感じだったんですか? 寛一郎:いやいや、そんなことはないですよ。 杉田:寛一郎さんは現場でもこのままで、いつも僕らを笑わせたりして和ませてくれましたね。 寛一郎:撮影は2週間ぐらいだったんですけど、毎日、映画で観ていただく以上に山を歩いていて。朝、5~6時に出発して、毎日、山でふたりで同じ空気を吸って、同じ景色を眺めて、一緒に冷たいおにぎり食べてたら、東京で撮影するよりもずっと、親密な関係になる気がします。ふたりで山を見ながら他愛もない会話をして……現代の言葉で言うならば、エモいですよね。撮影の時間がたくさんあったわけではないけど、その間だけは時間がゆっくり流れて、すごくいい時間でした。
寛一郎:この物語は、ノブの繰り返される日常の話でもあるんですよ。礼二郎と熊狩りに行ったことで、客観的に見たらあまり変わってないかもしれないけど、何かが変わっていて。映画の中に「みんな人間、やりたいことをやるようにできてる」という礼二郎のセリフがあるんですけど、今、そのやりたいことを見つけるのがすごく難しくて、みんなが探しているんですよね。信行もそうで、自分が何者なのか、何をしたいのかもわからない。信行の熊狩りの後のことは描かれていないので、彼が何かを見つけたのかはわからないけど、その「何か」が、すごく大事であって。それを感じられる映画だと思いますね。 ――この映画を、どんな人に観てもらいたいですか? 杉田:たくさんの人に、映画館で見てほしいです。今、悩んでいる人は、ノブと礼二郎という対照的なキャラクターに何かを感じることもあるでしょうし、映画が何かのきっかけにならなくてもいいと思います。映画館で、大自然を感じてもらえたら嬉しいです。 ――映画館で観ることで、マタギという文化を全身で体感できそうですね。 杉田:そうですね。 寛一郎:マタギって、いろいろな分野で使われる言葉なんですよ。建築では、外と和室をつなぐ土間のことや庭の石橋をマタギというし、芸術では、文化を継承することをマタギという。マタギって、何かの架け橋なんですよね。そういった意味でも、この作品が、たくさんの人に見てもらうことで、映画という文化を未来につなぐ架け橋になってほしいという願いがありますね。 取材・文=川辺美希 撮影=水津惣一郎 ヘアメイク(杉田雷麟さん)=後田睦子 ヘアメイク(寛一郎さん)=AMANO スタイリング(杉田雷麟さん)=青木沙織里 スタイリング(寛一郎さん)=坂上真一(白山事務所) 衣装協力(寛一郎さん)=ジャケット¥368,500(ジル サンダー バイ ルーシー アンド ルーク・メイヤー/問い合わせ:ジルサンダージャパン 0120-919-256)
映画『プロミスト・ランド』