真央が復帰戦で残した課題と可能性
ただ明るい見通しだけではない。この日は、ミスもあった。 当初、プログラムに予定していたトリプルフリップートリプルループの3×3のコンビネーションジャンプがトリプルフリップーダブルループとなり、演技後半に予定してたトリプルフリップーダブルループーダブルループのコンビネーションも、トリプルフリップーシングルループに、変わってしまっていた。 そして復帰の最大の障害と言われているのだが、浅田が休んだ2014-2015年シーズンから厳格になったルールへの対応。ルッツ、ループジャンプのエッジについてのジャッジと回転不足に関する厳格化問題だ。 浅田はインサイドで踏み切る癖のあるルッツジャンプのエッジの正確性が課題だった。この日のトリプルルッツジャンプに、エッジエラーはつかなかったが、グレーに近いアテンションの判定だった。 佐藤コーチと組むようになって、エッジと着氷時の足首のぐねりなどの動きなどが修正されるようになってきたが、ソチ五輪という緊張の場面では、細かいミスは出ていた。復帰を決めてから、そのあたりの修正にも取り組んできたようだが、今回は、その改善の成果は出ていたのだろうか。 今川さんは、「ルッツのエッジについては意識して修正しているのか、ブランクで悪い癖がなくなったか、推測でしかありませんが、力みや堅さというものが消えて、かなり改善されていました。練習の成果を感じます。トリプルートリプルについては、近年、入る確率が高くありません。ただ基礎点が高く、このトリプルートリプルの成否が結果を左右するようになっています。今後、取り組んでいく課題のひとつでしょう」と、分析している。 浅田は、今後、グランプリシリーズに本格参戦していき、11月6日からの中国杯(北京)、11月27日からのNHK杯(長野)に出場予定。「今後、滑りこみながら、課題をクリアしていき、コンディションを維持できるならば、グランプリシリーズでの表彰台、優勝の期待は十分にできると思います」と今川さん。 休養を経て、心身をリフレッシュ、技術面までも進化させたニュー浅田真央。もちろんブランクを抱えたゆえに課題は残っているはいるが、復活ロードが実に楽しみである。