米下院委、ゲーツ氏の買春や薬物に「証拠あり」 一時司法長官候補
米下院倫理委員会は23日、マット・ゲーツ元下院議員に関する性的な人身売買疑惑などに関する調査報告書を公表した。継続的な買春や17歳の少女との性的行為、違法薬物の使用、贈与品受領に関する下院規則違反などについて「相当な証拠がある」と結論付けた。ゲーツ氏はトランプ次期大統領から司法長官候補に指名されたが、批判が噴出したことを受けて辞退していた。 【写真特集】マスク氏、ケネディ氏…トランプ次期政権の顔ぶれは? 報告書は、ゲーツ氏が下院議員当時の2017~20年、複数の女性に定期的に金を支払って性的関係を持っていたことや、17~19年にコカインなどの違法薬物を複数回使用または所持していたことなどを「証拠」を挙げて指摘。これらに関わったとみられる12人の女性に計9万ドル(約1400万円)超を支払った記録があるとした。 17年には、知人宅でのパーティーで、当時17歳の少女を含む複数の女性と性的行為をした。少女は現金400ドルを受け取ったことを証言した。 18年のバハマへの旅行では、贈答品に関する下院規則に違反して多額の交通費などを受領した。性的関係にあった女性の旅券取得を助けようと、自身の選挙区に住む有権者だとうそをついて国務省に働きかけたという。 報告書は、こうした一連の行為が下院の規則や行動基準、南部フロリダ州の州法に違反すると指摘した。 ゲーツ氏はこれらの不正行為を否定し、連邦捜査当局も23年に刑事事件としての立件を見送った。しかし、下院倫理委は道義的責任を追及する調査を続け、報告書の公表に至った。米メディアによると、ゲーツ氏は23日、報告書の公表は違憲だとして首都ワシントンの連邦地裁に差し止めを求めて提訴したという。 ゲーツ氏は16年に下院議員に初当選し、今年11月の下院選で5選を果たした。共和党の保守強硬派で、トランプ氏を熱心に支持する議員の一人。トランプ氏から11月13日に司法長官候補に指名され、議員を辞職した。 しかし、多くの疑惑が指摘されてきたゲーツ氏の指名に民主党は猛反発し、共和党からも疑問視する声があがった。このため、ゲーツ氏は発表から8日後に指名辞退を表明。トランプ氏は、ゲーツ氏に代えてパム・ボンディ前フロリダ州司法長官を指名する意向を発表した。【ワシントン西田進一郎】