小日向文世が役者として“信じたいもの”とは? 座長・木村拓哉の印象は23年間変わらず
「自分のことが信じられなかったらアウト」
――小日向さんは今70歳。役者を始めた当初、今のような将来を思い描くようなことはありましたか? 小日向:若いときは70代なんてイメージできなかったというか、眼中になかったですよね(笑)。20代の頃は、60歳や70歳の人と共演したことがなかったんですよ。せいぜい自分たちよりも10歳、20歳上くらい人たちと一緒に芝居をしていたので。たとえば今回も、20代の俳優さんと僕は50歳近く違う。そんなことありえなかったから、変な感じがしますよね。ところが、自分の感覚はあまり変わっていないんです。75歳から後期高齢者なので、「僕はまだ前期高齢者だ!」ってね(笑)。でも、この歳でこうやって若い人たちとご一緒できるのはありがたいことです。『HERO』の頃、僕は47歳だったんですよ。だから、そのときの僕よりも今の木村くんのほうが年上。あっという間ですよ、木村くんもそのうち70代になりますから(笑)。楽しみだね! ――(笑)。歳を重ねることで、俳優としての変化はどう感じていますか? 小日向:若い頃よりも、周りのみんなが「これどうぞ」とか気を遣ってくれるかな(笑)。それと、あまり自分の中で高望みしなくなっているな、という気がします。ここまで芝居をやってこられただけでも、御の字だと思うから。70歳以降の俳優さんが出るドラマはなかなかないと思うので、呼ばれるだけでもありがたいなと感謝しつつ、撮影に臨みたいですね。 (ここで取材部屋を出る竹内涼真から挨拶を受けて) 小日向:竹内くん、カッコいいよね。彼はもっともっと若い頃に共演したけど、こんなふうになるとは思わなかったなぁ。 ――そういった出会いがあるのも、長く役者を続けているからこそですよね。 小日向:そうなの。ただ、勢いのある若い人たちを見ると、少し寂しい気持ちにもなるんですよ。なんだか置いていかれているような気がして。でも、これからも来た仕事はありがたく、いつまでも謙虚にやっていきたいなと思っています。 ――最後に、小日向さんがこれからも役者を続けていく上で“信じたいもの”を教えてください。 小日向:“前向きな自分”かな。だって、自分のことが信じられなかったらアウトだもんね。どんなときでも、どんな苦労を背負っても、元気にやっていく自分でありたい。「そうしていってくれるよね」「そう信じてるよ」と、自分に言いたいですね。
nakamura omame