岸田vs.植田の「大バトル」で日銀が惨敗…!1ドル160円の超円安と超物価高でも「脱デフレ宣言」しない岸田の「ヤバすぎる思惑」
「財務省の無策」、効かない為替介入
デフレ脱却宣言を行えば、マクロ経済政策は大きく転換することになる。 それは、政府にとっては、デフレ対策の名の下に実施が許されていた“役にも立たない、無駄な財政出動”ができなくなる上に、何よりも日銀が柔軟に利上げを実施すれば国債の利払い費が増大し、財政を圧迫するというリスクを招くことになるからだ。 しかし、岸田政権にとっては自民党の政治資金パーティ裏金問題と同様に、物価高は政権にとって強い逆風となっている。円安進行に対して冷ややかな日銀とは違い、これ以上の円安進行による輸入物価の上昇は、好ましくない。 そこで、政府(財務省)が主導して為替介入を行い、円安進行に歯止めをかけた。これにより、一時は1ドル=152円割れまで円高が進行した。 だが、これまでに筆者が何度も指摘したように為替介入には一時的な効果しかなく、トレンドを転換する力はないことから、5月29日現在では1ドル=157円前後にまで、再び円安が進行している。 円安進行の主な要因が日米金利差にある以上、日銀が利上げを行い、日米の金利差を縮小させることが円安進行を止め、円高へトレンドを転換させるためには、最も有効な手段なのは明白だ。
岸田に屈した植田…「日銀敗北」の真相
5月7日、植田総裁は岸田首相と会談した。3月19日の前回会談から2ヵ月も経っておらず、非常に短い期間での会談だ。 会談後、植田総裁は、「経済・物価に潜在的に大きな影響を与え得るものなので、最近の円安については日銀の政策運営上、十分注視をしていくということを確認した」と述べている。 これは、物価高への円安の影響について政府に“歩み寄った”ということだろう。つまり、物価高を抑制するための次の利上げは、政府がカギを握ったということでもある。 政府は1ドル=160円は許さないという姿勢を介入によって明確に示した。焦点はどの時点でデフレ脱却宣言を行い、次の利上げを認めるかだ。 会期延長のない限り、6月には通常国会が閉会を迎える。これが次の利上げのタイミングとなるのだろうか。それとも、9月30日に迎える岸田首相の自民党総裁の任期だろうか。