Oasis再結成はいかにして実現したのか 紆余曲折あった15年間&近年の“再結成事情”を解説
Linkin Parkに膨らむ期待 Pantera、Sublime、マイケミ……近年は再結成も続々
そして再結成である。すでにリアムはXで再結成を批判する人々からの返信に片っ端から悪口を返しまくるというお馴染みのムーブで場を盛り上げており、ノエル側は今のところ特に何も言っていない。バンドメンバーは誰になるのか? オープニングアクトはどうなるのか? 2008年以来となる新曲は作るのか? そもそも、再結成ライブ当日まで兄弟は耐えられるのか? 疑問は尽きないが、少なくとも今回の再結成で分かったのは、なんだかんだで誰もがOasisとギャラガー兄弟を好きで仕方がないということであり、せっかくならばこの声に応えてほしいものである。 近年では、Sublime(2024年)やMy Chemical Romance(2019年)といったパンク勢から、Pantera(2022年)やSlayer(2024年)のようなメタル勢、Roxy Music(2022年)やPavement(2022年)のようなロック勢まで、さまざまなバンドがそれぞれの形で再結成を実現し、それぞれに合ったやり方で成功している。ちょうど本稿を書いている現在も、Linkin Parkが遂に再始動するのでは? という期待にファンが胸を膨らませている最中だ(元SUM 41のデリック・ウィブリーが新ボーカルとして噂されていたため、なぜかOasisもセットで「すでにいるバンドの新ボーカルをやる予定はない」と声明を出す羽目になっていた)。Linkin Parkの謎のカウントダウンがゼロを迎えるとともにカウントアップに切り替わった瞬間はしばらく困惑したが、何にしても発表を楽しみにしたいところである。 興味深いのは、以前であれば再結成といえば「当時の思い出を再び」という宣伝文句込みの、ある種のパッケージ的な側面が大きかった印象があるのに対して(もちろん今でもそうではあるのだが)、現在の再結成はよりカジュアルなものになっているという点だ。それはフェスティバルのような再結成の場として使いやすい環境が整備されたり、再結成というイベント自体が数え切れないほどに行われてきたことによって、もはや以前ほどのサプライズ感がなくなったという背景も大きいだろう。今年の『Coachella Valley Music and Arts Festival』にNo Doubtが出演したように、アーティスト側も観客側も、再結成をある種のイベントとして気軽に楽しめるような程よいムードが広がっているように思う。 だが、もっとも大きいのは、バンドに対する幻想のようなものが薄れ、アーティストが生きているということ自体への喜びが重視されるようになったことなのではないだろうか。世界中のさまざまなアーティストの訃報を聞き、悲しみを積み重ねているうちに、それまでは再結成に否定的だったとしても、「まだ本人が生きていて、ファンが求めているのならば、やれるならやった方がいい」という想いを抱くようになったという人は、きっと少なくないはずだ。亡くなってしまったメンバーの想いを、他ならぬ息子が引き継ぐことによって再始動したSublimeは、まさにその最も美しい例の一つかもしれない。「あの頃の思い出が上書きされてしまう」という意見はもちろん否定しないが、ギャラガー兄弟は(その言動からも分かる通り)少なくとも元気であり、当時生まれていない人々でも知っているくらいのたくさんの名曲がある。それだけで、再結成する理由としては十分だろう。 ※1:https://www.stereogum.com/2252236/oasis-liam-gallagher-says-noel-gallagher-turned-down-a-definitely-maybe-30th-anniversary-tour-peter-frampton-tells-them-to-stop-marding/news/ ※2:https://www.stereogum.com/2268553/liam-gallagher-confirms-hes-reserved-a-seat-for-noel-at-every-show-on-his-solo-tour/news/
ノイ村