国内「パレスチナ反戦デモ」の裏でうごめく過激派 公安当局、新たな組織拡大活動に警戒
過激派の元幹部はデモなどを通じたオルグに関し、「激しい運動を展開しながらシンパを増やす手法は中核派が最も得意とするところだ。デモを繰り返すことで社会に怒りを持つ人たちの心に火をつけ、組織拡大をもくろんでいるのだろう」と分析する。
この元幹部が指摘する通り、各地のデモでは過激派とみられる人物が参加しているケースが多く確認されているという。大阪では昨秋から月2、3回のペースでデモ行進が行われ、最大で500人規模が集まる。公安当局者は「激しく対立してきたセクトが同じデモに参加していた。正直、驚いている」と話す。
今月23日には福岡パレスチナの会などが中心となり、在福岡米国領事館(福岡市中央区)近くでのデモを計画しているが、このデモの事前告知のために5月中旬に同市内で開かれた集会には、日本赤軍の元メンバーで映画監督の足立正生氏がゲストに招かれていた。日本赤軍は武装闘争による日本を含めた世界革命を目指す国際テロ組織で、足立氏はスポークスマンとして元最高幹部の重信房子氏と行動をともにしてきた〝革命家〟だ。
デモへの参加を呼び掛ける際、主催者側が「くれぐれも火炎瓶とか持ってきてはダメですよ」などと注意すると、参加者から「ロケット砲はいいんですか」との声が飛び、会場は爆笑の渦に包まれた。主催者側もしゃれにならないと思ったのか、「くれぐれも武器は持ってこないでください」との念押しを忘れなかった。
警察庁幹部は「現時点ではデモは暴徒化していないが、水面下の動きについては強い関心を持っていく」としている。(千田恒弥)