夏コミケ開幕 「二次創作ガイドライン問題」著作権の落とし所は?
8月15日~17日の3日間、東京ビッグサイトにて同人誌即売会「コミックマーケット86」(通称コミケ・コミケット)が開催されます。1年のうち夏と冬の2回開かれ、毎回50万人以上が参加する日本最大の同人誌即売イベントです。 コミケで販売されるものの多くが、既存のマンガやアニメ作品をファンが独自の目線で二次創作した「同人誌」と呼ばれる小冊子です。既存作品の設定を扱うため、著作権侵害にあたるのでは? という見方もありますが、権利元は「ファン活動の一つ」と捉え、その存在を黙認しているケースがほとんどです。長年グレーゾーンとされてきた二次創作著作物ですが、人気PCゲームソフトメーカー・株式会社ニトロプラスが“二次創作著作物ガイドライン”を6月2日に公開し、話題になりました。
PCゲームソフトメーカーが「ガイドライン」
「ニトロプラス作品に関連した同人誌、同人グッズ、コスプレ、痛車、フィギュアなどの二次著作物について」(6月2日当時)と題されたその内容は、(1)創作物であること(2)直接販売であること(3)販売数量の総累計数が200個以内であること(4)売上予定額が小規模(10万円未満)であること(5)その他、絶対的禁止事項に該当しないこと(作品のキャラクターのイメージを著しく損なわない、公序良俗に反しないなど)以上の条件を満たす二次創作物を“ファン活動の範囲内”として許諾するというものでした。販売数量や、売上予定額の規定が細かくなされていることから、二次著作物によって過剰な利益を得ることを牽制する意図があるようです。 このガイドラインに対し、ネット上では「権利元が明確な線引きをしてくれてありがたい」という肯定的な声や「売上などの規定された数字に根拠がない」など、さまざまな意見が飛び交い、なかでも同人誌の発行部数についての懸念が多く見られました。これを受けて、ニトロプラス代表取締役社長・小坂崇氣氏は自身のツイッターで、このガイドラインには「ファン活動とは思えない営利目的の同人グッズ等が増え続けている現状」に対して、線引きする意図があることを明らかにしました。 その後ニトロプラスは、同人誌に関して「営利性の有無の内容をそのまま適合させることが困難」であることを認め、過剰な営利性がなければ今まで通りファン活動として許諾する方針で、内容の一部を7月9日に改定しました。結果的に同人誌はガイドラインの対象から外された形になります。今回話題にあがった同人グッズには、どのような問題点があるのでしょうか?