夏コミケ開幕 「二次創作ガイドライン問題」著作権の落とし所は?
同人グッズの著作権めぐる問題点は?
今回問題になった同人グッズとは、人気作品のキャラクターを同人絵で描き、マグカップやフィギュアなどの商品として販売・配布するものを指します。二次創作が公式と同じ作品の同種類のグッズを売った場合、公式グッズから消費者を奪ってしまい、不正競争防止法に抵触する可能性がある創作物です。 以前、ゲームやグッズの制作を手がける株式会社ブロッコリーが、人気ゲーム『うたの☆プリンスさまっ♪』を扱った同人グッズの作者個人に対して、グッズの制作を中止するよう警告したことで、同人グッズの問題が浮き彫りになりました。とくに公式グッズとの混同を招く可能性や、価格が高価になる面からも“悪質な著作権侵害”と見なす場合が多いようです。同人グッズの登場は作り手の著作権侵害への認識の甘さの表れ、ともいわれています。
しかし、過去に同人誌が著作権侵害の対象となった例もあります。未完のまま終了したマンガ『ドラえもん』は、ファンの間でもその最終回について、さまざまな憶測が飛び交いました。そんななか、漫画家の田嶋安恵氏がドラえもん最終回の一説を同人誌化したところ、たちまち話題を呼び1万3000部も売り上げてしまったのです。これまでファン活動として黙認してきた藤子プロと小学館側も「今回は一線を超えている」として、謝罪と売上の一部を藤子プロに支払うよう求めました。 二次創作物が多くの利益を得た場合は権利元が見過ごすわけにはいかないのも現実です。二次創作物の利益を容認してしまうと「二次創作著作物による営利的な活動」まで認めることになりかねません。これは、商業マンガ業界の根幹を揺るがす問題に発展する可能性もあります。「何も言われないから何をしてもいい」のではなく、権利者がガイドラインを規定する必要のない範囲で、同人活動を楽しむのが得策なのかもしれません。 (谷口京子/清談社)