伏木に移住し「ほろ馬車」開店、親戚の店名受け継ぐ 七尾で被災の川端さん、30日駅前に飲食店
石川県七尾市の川端珠実さん(51)が、母の故郷の富山県高岡市伏木地区に移り住み、同市伏木古国府のJR伏木駅前に30日、飲食店をオープンする。能登半島地震で七尾市の自宅が被災し、親類宅に身を寄せながら開業準備を進めてきた。親戚がかつて伏木で営んでいた飲食店の名を受け継ぎ、メニューも再現する。「駅前からにぎわいを生み出したい」と語る。 川端さんの母、坂江美幸さん(75)は高岡市伏木地区で生まれ、子どもの頃まで過ごし、石川県七尾市に引っ越した。 飲食業に興味があった川端さんは調理師免許を取得し、石川県内の食堂やバルで経験を積んだ。伏木を開業の地に選んだのは、母の「里帰りできる場所がほしい」との言葉がきっかけ。伏木で暮らしたことはなかったが、親戚や知り合いも多く、なじみがあったことから移住を決めた。 物件を探していたところ、元日の地震に見舞われた。七尾市の自宅は中規模半壊で住めなくなり、親類宅で生活を続けながら伏木に通って準備を進めた。 店名は「お食事処 ほろ馬車」。親戚がかつて伏木矢田で営んでいたレストラン&カフェ「幌(ほろ)馬車」にちなんだ。昼は幌馬車時代に人気を集めた洋食や煮物が味わえる弁当や、クリームシチューピラフなどを提供。夜は七尾の郷土料理やおばんざいを用意する。昼から夜までの通し営業とし、コーヒーや手作りのお菓子も提供する。 開業には、震災復興に向け高岡市が制度拡充した開業支援事業を活用した。 川端さんは「オープンまでに高岡の多くの方が力になってくれた」と感謝する。「ふらっと立ち寄れて地域の人にかわいがってもらえる店にしたい。伏木の復興の一助にもなればうれしい」と笑顔を見せた。