2024年、この世を去ったスターたちの最高傑作は?(1)映画史に残るヒットを連発…心が温まる学園モノの名作
映画界を彩り、国民に感動を届けてくれたスターたちの訃報が続いた2024年。今回は、今年、惜しまれつつ旅立った名優たちの輝かしいキャリアや代表作を振り返り、それぞれの人生を象徴する名作を厳選して紹介する。スターたちが残した魅力と功績に敬意を表しながら、映画界に刻まれたその軌跡を辿る。第1回。(文・村松健太郎)
西田敏行『学校』(1993)
12月6日公開の『劇場版ドクターX FINAL』でも元気な姿を見せていた西田敏行が亡くなったのは公開記念イベントに出席して数日後という急な話だった。 俳優としてはもちろんタレントとして「探偵ナイトスクープ」(朝日放送テレビ、1988~)に局長としてレギュラー出演したほか、歌手としても「もしもピアノが弾けたなら」で紅白歌合戦にも出場するなど、多岐にわたって最後まで第一線で活躍し続けた。 1947年に生まれた西田敏行は1968年に青年座に入り70年代から映像の分野にも進出している。NHK大河ドラマは何と14作品にも出演している。 映画では『植村直己物語』(1986)、『敦煌』(1988)、『ゲロッパ!』(2003)、『アウトレイジ ビヨンド』(2012)、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(2017)、『任侠学園』(2019)など主演から脇役まで数多くの名演を見せ続けた。またメインキャストとして出演した『釣りバカ日誌』(1988~)シリーズは日本映画史に残るヒットシリーズとなった。 質の高い作品が揃う西田敏行の出演作から一本を選ぶのは難しいが、山田洋次監督と組んだ『学校』を推すことにする。『釣りバカ日誌』シリーズにおいて既に主演俳優と脚本家として競作済みだった西田と山田が初めて本格タッグを組んだヒューマンドラマである。 夜間中学校を舞台に年齢も出自もバラバラな生徒たちと、彼/彼女らを優しく見守る西田扮する教師の姿を丁寧に描いている。作品は日本アカデミー賞を含めて高い評価を受け4作目まで作られるシリーズとなった。名匠と名優が組んだ珠玉の日本映画をぜひ堪能してほしい。 (文・村松健太郎)
村松健太郎