わるいヤツは誰だ? 斎藤知事の不信任決議案を可決 兵庫県政【山本浩之アナコラム】
【ヤマヒロのぴかッと金曜日】 混迷を深める兵庫県知事の内部告発問題は政局へと発展し、兵庫県議会は知事に対する不信任決議案を可決した。斎藤知事はどう対応するのか。 【写真】自身への不信任決議案の採決を待つ斎藤元彦知事 うつむき神妙な面持ち それにしても、である。実態が明らかになるにつれこれほど心寒い思いがつのる事案も珍しい。 度を越すおねだりに始まり、カン違いも甚だしい数々のパワハラは百条委員会でこれまでに明らかになっている。傲慢(ごうまん)で卑しいとされる斎藤知事の言動の数々は、3年の間に県庁内に失望感や虚脱感を生み、大半の職員たちの心は知事から離れていったのか。そしてそれが忖度(そんたく)政治につながってしまったのか。 知事だけでなく、知事の取り巻きといわれる県幹部たちもまた。中でも最も大切な時期にいち抜けした片山副知事に至っては、涙の出ない泣きの会見は無責任な職務放棄としか思えなかった。自己保身のために取った数々の言動もこれまでの報道を通じて知ったが、卑劣極まりないものだ。元県民局長を直接取り調べた際にチラつかせた第三者への処分などは脅し以外の何なのか。 他にも、犯人捜しに躍起になる幹部たち。告発を受けた側が告発者を取り調べて追及していくという異常とも言える行動によって、元県民局長がどんどん追い詰められていった様が手に取るようにわかる。相当つらかったのだと思う。 元局長の死について問われた知事が「道義的責任を感じない」と言ってのけたとき身の毛がよだつ思いがした。経緯はどうあれ、自分の部下が命を落とした重大な事実をこの人は何も感じなかったのか。 プロ野球優勝パレードの寄付金集めを巡る補助金キックバック疑惑。補助金一億円がパレード一週間前に突然四億円に引き上げられた。4月に亡くなった担当職員は、当時どんな思いで奔走していたのだろう。本心を聞くことはできない。労働環境を守らねばならない県職員労組は、今どうしているのか。知事に辞職要求を突きつけて以来、対外発信していない。こちらもまた硬直化してしまっているのか? そして百条委員会。まだ役割を果たし終えてない。わからないことだらけである。もし議会が解散しても、再度委員会を立ち上げ真相を究明すべきである。 「気がつけば、権力者の周囲には二流三流のイエスマンが主流を占めている状況に。そのような組織の腐敗・内部崩壊も外部にはなかなか伝わりにくく、不祥事、事件の発生といった出来事でようやく世間の知るところとなるのです」。亡くなった元県民局長が残した文章である。 兵庫県庁が権力者とそこに群がる者たちに支配された組織だったのなら、元局長が命とひきかえにこじ開けた風穴を突破口に、真相を究明することから始めなければならない。(元関西テレビアナウンサー) ◇山本浩之(やまもと・ひろゆき)1962年3月16日生まれ。大阪府出身。龍谷大学法学部卒業後、関西テレビにアナウンサーとして入社。スポーツ、情報、報道番組など幅広く活躍するが、2013年に退社。その後はフリーとなり、24年4月からMBSラジオで「ヤマヒロのぴかッとモーニング」(月~金曜日・8~10時)などを担当する。趣味は自家菜園。