<独自>万博協会、ピラミッド型からフラット型組織に 部・課を廃止し「運営統括室」新設
2025年大阪・関西万博を運営する日本国際博覧会協会(万博協会)が、万博開催期間中の意思決定と課題対応の迅速化のため、トップの下に複数の役職が重なる「ピラミッド型」の組織から各部署が横並びの「フラット型」の新体制に移行する方針であることが21日、分かった。部や課を廃止し、会場運営の総合調整を担う「運営統括室」を新設する。27日開催の理事会で報告する。 【写真】落合陽一氏が手がけるパビリオン。鏡のような建物の外観 大阪府咲州(さきしま)庁舎(大阪市住之江区)に本部を置く現在の万博協会の組織体制は、事務方トップの石毛博行事務総長の下に5人の副事務総長を置く。各副事務総長が管轄する企画局や整備局など12局(室)と20部52課があり、それぞれの上長が判断を行う階層型の構造となっている。 職員数は約770人で、国や自治体、民間企業からの出向者で構成。平成31年の協会創設以来、階層構造のため組織内の連携や情報共有、意思決定のスピードに問題があるとされてきた。 昨秋には「総合戦略室」を新設して部署をまたいだ課題解決を進めてきたが、万博に参画する企業などからは協会組織の階層構造に批判が根強かった。これまでは準備期間だったが、来年4月の開幕を見据え、各種問題に迅速に対応できる体制への一新を決めた。 新体制では、全ての部と課を廃止して複数の局を置き、それぞれの局では局長と、局長と同等の権限を持つ局長代行が1日2交代勤務に対応しながらさまざまな課題について意思決定を行う。 新設の「運営統括室」は組織内の情報の集約と調整を担う。万博開催中は会場でのトラブルに備えて、副事務総長が輪番で「会場責任者」として常駐し、緊急の記者会見や情報発信にあたる。 新体制への移行時期は、万博会場の人工島・夢洲(ゆめしま)(同市此花区)に協会が入居する「管理棟」が完成する今年10月をめどとしている。(井上浩平)