阪神の新外国人キャンベルは米国版“角中打法”で成功を狙う!
阪神をマークしている某球団のスコアラーは、こんな風にキャンベルを分析していた。 「ゴメスがいたときの阪神は楽だった。誰で勝負するかの選択になったとき、決定的な穴のあるゴメスで勝負できたから。でもキャンベルが入ると、たとえ本塁打が10本ほどでも.280を打つとなると、選択肢に困る。打線がつながる可能性が出てくるし、その影響で前後のバッターに打たれるケースも出てくる。実は、打率.220程度で20本、30本打つ外国人のほうが、攻めやすかったりする。キャンベルはパワーはないが、あの形で対応され率を残されると、打線に入ると嫌なタイプではある」 金本監督が「ミート中心のタイプ。4番としては取っていない」と表現したようにキャンベルは、確かに4番タイプではないが、ジグザグ打線を組むために、糸井、福留、高山、鳥谷の間に入るとすれば、その前後の打者が生きてくる可能性がある。 「高山が7番になったりすれば、キャンベルにつながれ、高山に返されることになる。それは怖いですよ」と、セのライバル球団のOO7は警戒している。 ただキャンベルの打球のほとんどにラインドライブがかかっている。バットがボールに入る角度がなく、バットは、下から出ているためだ。「ボールの捉え方やバットの出方はオリックスのモレルに似ている。あれくらいの数字で(.244、8本塁打)で終わってしまう可能性もある」と、指摘するスコアラーもいる。 この2年は、マイナーでは数字を残したが、メジャーに上がるとからっきし打てなかった。2015年、2016年と続けて打率は1割台。メッツの手厳しいニューヨークメディアには、チーム不振のスケープゴートとして叩かれ、メッツファンはキャンベルの名前がスコアボードに出るだけで「キャーッ!」と悲鳴を上げたという。 メジャーで結果を残せなかった原因は、関係者によると「ツーシーム系のボールのキレとコントロールがメジャーとマイナーでは大きく違うため対応に苦しんだのが理由」だという。 ツーシームの使い手と言えば広島の黒田博樹だったが、入れ違いで引退。広島の福井や、巨人の菅野、ヤクルトの石川ら、メジャー級のツーシームを操る投手がいることはいるが、それほど多くない環境は、キャンベルにとって追い風になるかもしれない。 また外国人が日本で失敗するケースのひとつに守備の不安があるが、キャンベルの三塁守備には、十分に合格点が与えられる。シートノックや内野ノックでも、目立ったミスはなく無難な動きを見せていた。 「動きはいいと思う。捕る姿勢もいいし、スローイングもいい。肩も強い」と金本監督も高評価を与えていた。あの牛若丸と呼ばれた名手で元阪神監督の吉田義男氏も、金本監督に「守備は使える」と太鼓判を押したそうである。 今なお一塁が空白のままの阪神にとって、キャンベルの成否が、イコール、今季の阪神打線の変化につながることは間違いない。関係者によると「頭がよく、配球を読んで打てるタイプ」だそうだが、ここから実戦の中で、いかに適応できるかが、重要なポイントになるだろう。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)